2021年4月からJICDAQが本格的に活動を開始し、デジタル広告の取引における課題を解決する大きな一歩が踏み出されました。しかしアドバタイザーにとっての課題は取引の透明性だけではありません。生活者にとってのデジタル広告の体験の質という点からJAAの小出誠氏、JIAAの植村祐嗣氏に話を聞きます。
デジタル広告の課題の解決は生活者にも企業にも意味がある
──JIAAでは2019年にインターネット広告に関するユーザー意識調査(定量)を、さらに定量調査の結果を踏まえ、さらに課題を深堀する定性調査を2020年に実施しています【図表1・2】。
植村:ユーザーがネガティブな印象を持っているものとして、フォーマット、クリエイティブ、ターゲティングの問題があります。またクリエイティブにも関係しますが、出稿する企業の業種にもネガティブな声がありました。
アドエクスペリエンスには狭義と広義の意味合いがあり、例えばアメリカの業界団体ではアドエクスペリエンスをフォーマットという狭義の意味で使います。この議論をする際、どちらの意味で使っているかを明確にした方がよいですよね。
小出:そうですね。アドバタイザーとしても、アドエクスペリエンスとしてまず課題として捉えているのはフォーマットの問題ですね。ユーザーに不快感を与えるようなフォーマットで広告が掲載されれば、当然広告主のブランドにも影響を与えます。ちなみに植村さんに伺いたいのですが、どのようなフォーマットで広告が露出しているか、アドバタイザーが把握することは可能なのでしょうか。
植村:広告会社、メディアに聞いていただけばわかります。ただ、こうした問題が顕在化するまで、多くの場合はアドバタイザーの方もフォーマットまで気にしていなかったと思います。また、ブランド棄損しないようなフォーマットを選んで出稿すると、広告のKPI上での投資効率が悪くなるという課題もあります。強制的に視認をさせるようなフォーマットだから、数値だけ見れば効果は出ているように見えてしまうからです。
小出:「広義」となるのかもしれませんが...