審査員に今回の審査を終えての講評を聞きました。
CHERRY inc.
青木一真
まず、応募された方の熱意に敬意を表したいと思います。今年も何千本というコピーを拝見しましたが、その約8~9割は類似コピーでした。人が考えつくことって、ほぼ同じなんだなと。他人と被らないユニークな視点を諦めないで追求すること。そのために、数を考える汗と既視感があるものは捨てる勇気が大切だと思いました。自戒を込めて。
赤城廣告
赤城廣治
自分の仕事を抱えながら、自分の現状に抗いながら、自分の可能性を広げようと、今年もたくさんのコピーを応募されたみなさん、おつかれさまでした。いいコピーに、確かに僕は出逢えましたよ!あのコピーが、この先を勝ち抜きますように。あのコピーの作者が、この賞を通過点に、もっと先へと走ってゆけますように。
電通 関西支社
池田定博
外出自粛ということもあって、いつもよりゆっくり文字や言葉に触れられるような気がします。新しい言葉も気になりますが、普段使っている言葉を組み合わせ方や言い方でとてもいい1行にする。いまは、そういうコピーが強く感じられます。
インプロバイド
池端宏介
選んだ作品を見直してみました。短くて潔いコピーが多い。当たり前のことでも「なるほどな」と思える言い回しが多い。うまいこと言おうとしているドヤ感コピーもWHAT TO SAYがしっかりしていれば大丈夫。作品意図はまったく審査に影響しない。という印象でした。
オーエンカンパニー
生駒達也
人が消費行動に出るときって、そこには「お金をかける意味」とか「時間をかける意味」とか「手間をかける意味」とかがあるはずですが、特にこの一年は、本当にその「意味」を考え直すようになりました。宣伝会議賞の審査で残っていくコピーたちは、そういう意味をちゃんと伝えられている言葉なんじゃないかなと思います。
電通
石田文子
時代があっけなく変わってしまったこともあり。今までにない新しいコピーがたくさん見られるのではないかとワクワクしながら審査しました。思ったより劇的な変化はありませんでしたが(笑)それでもキラキラと光っているコピーはすぐに見つけられました。
サン・アド
岩崎亜矢
宣伝会議賞を獲ることが、そのまま仕事の成功に直結するわけではないかもしれない。でも、最終に残ったすぐれた言葉たちを見ていると、これはライバルを見つけるための場なのだと思う。頭を抱えてコピーを何万本書くのと同じくらい、いいライバルは自分を成長させてくれる。どうぞ、あなたのライバルを見つけて下さい。
UENOJAPAN
上野達生
シニカルというかクールな目線だったり、人間の業というか人のドロッとした所を触れようとするものが少ない印象でした。正しいことを言おう、としたものが多かった印象でした。(担当した課題によるかもしれません)平時ではないこのタイミングだから生きる言葉がある。コピーは生き物だなあ、と改めて感じた審査でした。受賞者の皆さま、本当におめでとうございます!
占部邦枝
つねに新しい切り口を見つけるのは本当に難しい。だけど同じ切り口でも、言葉のチョイスや言い方ひとつで新しい表現になる。コピーを書きつづけるってそういうことだと思います。切り口は同じだけど、こっちの表現の方が素敵!と選んだコピーもたくさんあります。ここからグランプリ出るといいな。
O
呉 功再
審査をしていてニヤっとする瞬間があります。ページを送る手が止まりしばらく眺めます。1行の言葉に想像が広がります。いいコピーだなあ。よく書いたなあ。入賞するんじゃないかなあ。自分が書いたわけでもないのにうれしくなってしまう。そんな審査でした。
もの・かたり。
大岩直人
ずっと、ポストモダンなコピーに憧れ続けてきました。でも、ここ十年ぐらいはどうも様子が違うようです。ヒトよりも再びモノへ。意味性のあるtextよりも素材そのもののtextureへ。そんな時代の「もの・かたり。」ってなんだろうと悩みながら、プリミティブゆえにこそ新しいコピーを探してみたつもりです。
電通 中部支社
大塚久雄
審査をしていて好きなコピーに出会うときって、書いた人の普段の感覚や言葉遣いが垣間見えて、それを好きになっているんだろうなと思います。コピーと出会っているようで実は書いた人と出会っているんだなと。たくさんコピーを浴びて、改めてそのことを実感しました。勉強させていただきました。
フリーランス
岡崎数也
熱意や野心がコピーの新しさや強さに繋がるのだとは思いますが、自分の技術披露が優先されているコピーが多かったです。残念。コトバを捻り出すのではなく、商品と社会との「良き関係性」を描くことが大切です。
Que
岡部将彦
第57回漫画のような一コマ。第56回言われてみればそうだ。第55回単語のレトリック 第54回ユーザーの一言 第53回意外なところからのショートカット 第52回言われてみればそうだ。第51回ユーザーの一言 第50回ユーザーの一言 ここ9回のグランプリを自分なりに。コピーも狙って投げると、精度が上がりますから。
電通 中部支社
岡本達也
毎年審査するたびに、「コピーライターという世界に入れて良かったな」を痛感します。ハッとする表現や新鮮な言い回し、例えのうまさ、などなどあらゆる表現の工夫に出会えるからです。奥深い日本語という言語の美しさ、面白さを思い出させてくれます。コピーライターという職業がずっとこの世にあり続けますように。
フルボリューム
小川英紀
一度、一次審査員が「コレくらいのコピーがラインです」というコピーを書いて、それを応募する皆さんが「コレならどーだ」とまくってみる。というカタチにしたら面白いと考えて、辞退しちゃうかもと思いました。
電通 中部支社
尾崎敬久
「キテるコピー」は一見ヒラメキで書き上げたようにも見えますが、きっとそうじゃない。考え抜いたその先に「あ!」と気づいた視点や情景や感情があって、それを言葉にしているはずです。受賞コピーを書かれた方は、この「あ!」の感触を味わった人ではないでしょうか。つまり書き手本人が最初の審査員でもあると思うのです。
サン・アド
笠原千昌
瞬間的に目に止まる強さ、噛み締めることでじんわり浸透する強さ。心を持っていかれる「ことば」には、書く人の思いがちゃんと描かれていました。
フリーランス
片桐義晴
いつもとは違う社会状況の中でありながら、たくさんの応募があったことにとても勇気をもらいました。あふれる言葉の中から見つけたきらりと光るコピーには、他の作品にはない個性(視点)があります。新しい生活環境の中でコピーの発想も変わってくるのか、審査をしながら気になりました。
電通
勝浦雅彦
受賞者の皆さん、おめでとうございます。コロナ禍の今年度は人々の心情の振れ幅大きく、それがコピーにも反映されていた気がします。言葉を発することが時に大きなリスクとなり、沈黙してやり過ごす方が賢いとすら思えるいま。それでも勇気を出して言葉にしていきましょう。自分以外の誰かとつながるために。
博報堂
川島章弘
人間関係もなく無茶な要望も忖度もなく、ただ自分の頭の中でだけで商品と世の中に対峙し一言をつむぎだす。クリエイターにとって、幸せな作業だし幸せな時間です。プロになってもそんなスタイルをとり続けたいものです。
博報堂
河西智彦
毎年思いますが、現業でも通用するコピーがたくさんあります。偉そうに審査員をやらせてもらっていますが、僕はたまたま就職などを経てここにいるだけで、才能という意味では審査するのもおこがましい…と恥ずかしくなります。熱意と諦めの悪さは立派な武器です。どうか諦めずに夢を追ってください。