編集者視点で考えるメディアの未来─グーテンベルクオーケストラ 菅付雅信氏
メディアビジネスの未来はどうなるのか?との問いに、「イノベーティヴな答えを期待するのはやめたほうがいい」と語る菅付雅信氏。多くのメディアのイノベーションが誕生時はビジネスを目的に発明されたものではないからだという。それでは「メディアの未来はどうなるのか?」。“編集者”としてメディアビジネスの域を超えて活動する、同氏が考えるメディアの行く末とは。
コモディティ化が進む市場のなかで、いかにメディアを活用していくかは重要な課題だ。洗剤やシャンプー、生理用品など、人々の日常生活に必要不可欠な商品を展開する花王では、宣伝担当者にどのようなスキルを求めているのか。マーケティング創発部門の立山昭洋氏に話を聞いた。
複雑化し、専門特化していくマーケティング活動。花王では調査、ブランディング、ブランドPR、表記・表示管理など、より高い専門性が求められるマーケティング機能を「マーケティング創発センター」として集約。このマーケティング創発センターのなかでメディアブラニングとバイイングに関わる「メディア企画部」の部長を務めるのが立山氏だ。
メディア企画部は「テレビメディア企画室」「クロスメディア企画室」「デジタルメディア企画室」の3つの機能で構成され、現在20代から50代まで25人程が在籍している。
2021年1月には中期経営計画に基づき「DX戦略推進センター」や「デジタル事業創造部」が設立されるなど、あらゆる領域でデジタル技術を活用した戦略を推し進める花王。広告コミュニケーション領域も同様で、立山氏直下の「デジタルメディア企画室」がデジタルを活用したマーケティングミックスの企画・推進を担っている。
デジタルメディア企画室には、他社で広告運用に携わってきたデジタルマーケティングのプロフェッショナルを含めたデジタルメディア経験者が多数集結。ペイドメディアだけでなく、SNSや一部のオウンドメディア施策などに携わっている。
ますます専門性が求められるメディアプランニングの業務。特にデジタル領域は日進月歩の進化があり、常に最新情報のキャッチアップが求められる仕事。立山氏は「メディア企画部内で、それぞれが担当領域で高い専門性を発揮しながら成果を追求してきた」と話すが、「今後は、デジタルしかできない、マスしかできないという人材では通用しなくなる」との考えも示す。
花王の場合、立山氏のようなマーケティングやメディアの専門組織のメンバーが、各事業のブランド担当者とともに施策を企画・実行していく。そのため、マスやデジタルを網羅的に理解し、一人ひとりが「メディアプランナー」の役割を担うことが理想なのだという。
いま、同氏が課題としてチームメンバーに改めて掲げているのが、プランニングの全体設計の組み立て方だ【図表1】。メディアが複雑化しているからこそ...