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編集者視点で考えるメディアの未来─グーテンベルクオーケストラ 菅付雅信氏

菅付雅信氏(グーテンベルクオーケストラ)

メディアビジネスの未来はどうなるのか?との問いに、「イノベーティヴな答えを期待するのはやめたほうがいい」と語る菅付雅信氏。多くのメディアのイノベーションが誕生時はビジネスを目的に発明されたものではないからだという。それでは「メディアの未来はどうなるのか?」。“編集者”としてメディアビジネスの域を超えて活動する、同氏が考えるメディアの行く末とは。

『ESP Cultural Magazine』 Issue 2。国内4月下旬、欧米は5月上旬発売。

メディアはサウナである グローバル・ヴィレッジの村人

「メディアはマッサージである」と言ったのは故マーシャル・マクルーハン。メディア論の巨人によると、メディアは個人的かつ社会的な出来事のすべてに深く浸透し、いわばマッサージ嬢のように全身感覚に訴え、心理的マッサージをするという。

そのマクルーハンの言葉をもじって言うと、今やメディアはサウナである。それは電車や地下鉄の通勤風景を見ればわかる。そこでは横一列で腰掛ける乗客の多くがスマホを恍惚と眺めている。日経電子版のような硬めのコンテンツを見ている人も中にはいるが、多くは他愛もないSNSとゲームと動画配信サービスを見て、受動的で緩やかなトランス状態に陥っている。

コロナ禍で成長した企業の代表格に米Netflixがある。同社は2020年度の通期売上高は250億ドル(約2兆5915億円)を達成。営業利益は前年比なんと76%増の46億ドル(約4767億円)。日本の映画館の20年国内興行収入はコロナ禍で激減し、総額1432億円。一社で、日本の全興行収入の18倍もの売上にもなる。

Netflixはその中毒性をよく指摘される。実はモニターを見続けると脳内にセロトニンという幸福感を促す神経伝達物質が増えるという調査結果がある。人類はNetflixをはじめとする中毒的動画メディアによって、脳内が恍惚=サウナ化しているのだ。

電子メディアによって世界が瞬時にしてつながる状態を、マクルーハンは「グローバル・ヴィレッジ」と呼んだ。つまり「地球がひとつの村になる」と。そう聞くととてもポジティヴな表現に聞こえるが、彼はその危険性を60年代から予見していた。

いわく「世界はコンピュータ、つまりSF小説に描かれている電気的頭脳そっくりになってきた。私たちの感覚が外に出ていくにつれ、ビッグ・ブラザーは中に入ってくる。この力学に気づかない限り、私たちはすぐに部族の太鼓と全体的相互依存と二重焼き付けになった共存の小さな社会にふさわしいパニック的恐怖の段階へと入っていくだろう。恐怖は口承的な社会の常態だ。私たちはこのような部族的帰結を受け入れるつもりはない」(『グローバル・ヴィレッジ』青弓社より)。

世界のコンピュータ化が人間の感覚を外部化させ、逆にビッグ・ブラザー的支配者が精神の内部を占め、評判やバズによって右往左往される社会が来ると、マクルーハンは今のネット時代を予見していた。では「グローバル・ヴィレッジ」をより知的な「グローバル・シヴィル・ソサエティ」にするにはどうしたらいいのだろうか。

その危機感を...

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