顧客第一主義への転換が大きなターニングポイント 進化し続けた50年
1974年、日本初のコラーゲンを配合した基礎化粧品として誕生し、2024年に50周年を迎えた「ドモホルンリンクル」。漢方の製薬会社であった再春館製薬所が、「人間も自然の一部」という漢方の考え方と、同社の科学技術を掛け合わせ、化粧品開発に挑戦したことからブランドの歴史が始まった。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
(左)1921 (右)2021
誕生から100年、日本上陸から61年を迎えたカミソリブランドの「Schick」。原点は創業者のヤコブ・シック氏による、ブレードを交換できる「充填式レザー」の開発にある。その後、改良が重ねられて1926年「インジェクター」のブランド名でアメリカから世界に広がっていく。日本に参入したのは、貿易の自由化に伴った1960年のこと。両刃のカミソリが主流だった時代、片刃カミソリの刃が厚いという特性が比較的ヒゲが硬い日本人に非常に合っていたこともあり、高度成長期と共に普及していった。
技術的なターニングポイントは2枚刃の開発だ。刃の枚数が増えると圧力が分散するため、肌への負担が軽くなる。同社は1972年に「スーパーⅡ」の販売を開始。その後、2012年には男女ともにハイドロシリーズで5枚刃が登場するなど、「深剃り」、そして「安全性」を追求しながら、カミソリ業界の技術革新は続いてきた。近年では若年層を中心に男性のスキンケア意識が高まるなか、敏感肌向けの商品も展開する。
そして2020年には、これまでの機能面の訴求から、情緒的ベネフィットへとコミュニケーション戦略を転換するという大きなリブランディングを図った。そこで迎えたコロナ禍。ステイホーム中の芸能人がヒゲを伸ばしている様子をSNSに投稿して話題になるなど、期せずしてヒゲや体毛にまつわる状況や価値観は大きく変化した。同社ブランドコミュニケーションマネージャーの古川滋子氏は、「“仕方なく剃る”のではなく、カミソリを手に取ったときに、ワクワクした気持ちになってほしい」と話す。
「次の50年、100年に向けて、単なるSchick=カミソリというイメージから、多様な自己表現をサポートできるブランドとして、コミュニケーションしていきたいと考えています」(古川氏)。
シック・ジャパンは2020年、日本のライフスタイルに寄り添った商品開発やコミュニケーションを行うことを目的に「It's in your hands すべては、その手からはじまる。」というマニフェストのもと、リブランディングを開始した。
同年新たなチャレンジとして、トレーニングジムを運営するRIZAPと共同で男性のヒゲ以外の体毛ケアに焦点を当てた商品を開発。鍛え上げられた筋肉とボディグルーミングをかけあわせた“結果にコミットする”Web動画を公開した。こうした施策は、新規ユーザーの獲得と共に、「まだ試したことはないが、体毛処理に興味はある」という...