情報化社会の到来 知識の浸透がスピーディーに
私は本業の傍ら大学の講師をしている。まさに今は新学期が始まり、学生たちがキャンパスに溢れている状態だ。彼らのテクノロジーへの興味はどこにあるのだろうか。VRやARといったXR技術、ゲームといったあたりだろうか。それに、ブロックチェーンやNFTについても一通り知っているようである。
また、スマートシティやMaaSに興味を持っている者もいる。彼らはその興味のある領域について勉強に励み、最終的には起業を目指している。そんな彼らと日頃話していると、企業のチャンスはどこにあるのだろうかと考えることが多くなった。また、それと同時に気づきを得ることもある。
私が学生たちと接するうえで気づいたこと、それは知識や情報があっという間に浸透することだ。
あらゆるイノベーションは、既存技術の民主化だと私は考えている。テクノロジーで提供コストを下げ、販売個数を増やすことで富を得る。手づくりから始まり、工業化による大量生産で市場を広げる。その波はハードの領域だけでなく、知識・情報といったソフト、いわゆる無形資産の分野にも及んでいる。
そんなことは20年前、30年前から言われていたと思う人も多くいるだろう。たしかに1970年代の書物には、すでに情報化社会というキーワードが出現している。ただ、コンセプト(=情報化社会の定義や理論)と実態(=実際に情報化社会と呼べる社会になったか)には時間差があった。とくに、テクノロジーの分野においてはなおさらだろう。
現地に赴く理由がない「空気感」もオンラインで体感
私自身、2010年代初頭は...