エステーのファンベースドマーケティングに見る 企業と消費者のこれからの関係
マスメディアを使った一方通行のコミュニケーションしかできなかった時代から変わり、1対1、双方向のコミュニケーションも実現しうるSNSが登場した今、お客さまと向き合う企業の姿勢にも変化が求められている。従来のマーケティングの領域を超越したエステーのコミュニケーションから、企業とお客さまのこれからの関係性を探るヒントを考える。
「ポスト2020」広告マーケティングの行方
本誌2020年5月号で、東京2020聖火リレーのパートナー企業各社による座談会を実施した。しかし聖火リレーは直前で中止に。それから1年、各企業の担当者は何を考え、活動してきたのか。今年のリレー開催を間近に控える今、ゴールドパートナー企業の1社である、NECの山本啓一朗氏が聞き手となり話を聞いた。
ENEOS
東京2020オリンピック・パラリンピック推進室長
内田倫義氏
日本生命保険
オリンピック・パラリンピック推進部 東京2020推進担当課長
安藤鉄平氏
日本電信電話(NTT)
新ビジネス推進室 2020渉外担当 担当部長
吉川 勲氏
山本:昨年の3月、聖火リレーが開始される2日前に大会延期が決まりました。改めて、当時の振り返りとそこからどのようにリカバリーされたのかについてお聞かせください。
吉川:3月20日(聖火リレースタートの6日前)、私は聖火の到着式のため宮城県の松島基地に行きました。新型コロナウイルス感染症(以下、Covid-19)は拡大傾向にありましたが、関係者の努力で何とか聖火を日本に持ってこれたこともあり「これから聖火リレーで全国を盛り上げるぞ」と式典に参加された方々と気持ちを高め合ったことを覚えています。
しかしながら、スタートの2日前に急遽延期が決定。その直後から7月末くらいまでは、本当にバタバタした苦悩の日々が続きました。聖火リレーの隊列を盛り上げるプレゼンティングパートナーの隊列には、1社あたり80人から90人のスタッフが帯同するのですが、直前で延期となったスタッフのモチベーションも含め、中止を受けた諸々の対処や2021年への新たなロードマップについて、日々、議論、整理を重ねていました。
安藤:スーツケースをもって会社に行き、これから車に乗って福島へ…というタイミングで延期が決まりました。元々、オールジャパンで大会を盛り上げるのが役割だと考えていましたし、やることが待ち受けていましたので、1週間くらいで1年延期となったことを前向きに捉え、自社だけでなく、日本全体にとってプラスにするにはどうしたらよいかと動き出したことを覚えています。
内田:聖火が到着した3月20日は私の誕生日なんです…。いろいろな仕掛けを企画していましたが、すべてダメになりましたね。エネルギーの供給含め、すべてがやり直しになりましたが、一番、大変だったのは社内のモチベーション。オリパラに向かう、モチベーションが下がりきってしまったんですよね。この1年を通して、オリンピアンの方々にも協力いただき、社員向けのトークショーをずっと続けたりしました。
山本:聖火リレーに向けて、地方でトーチを展示する「聖火ビジット」を展開されていると伺っています。
内田:地方自治体の主催で、聖火をランタンに入れて展示するイベントにトーチを持って行き横に飾り、写真を撮ってもらおう、という企画です。地方を回っているのですが、聖火に対する人気は根強いですよね。
安藤:日本生命も「聖火の地方展示」に参加させていただきました。これは、ゴールドパートナーになった意義にもつながるのですが...