広告マーケティングの専門メディア

           

宣伝担当者が知っておきたい 著作権なんでもQ&A

制作手法の模倣は著作権侵害になる?

岡本健太郎氏(骨董通り法律事務所)

    QUESTION:

    Q. 手袋に絵具を付けて抽象画を描くアーティストがいます。同様の手法を用いてポスターを制作した場合、著作権侵害となりますか?

ANSWER:

POINT 1
著作権侵害の対象

先日、ボクシング映画の宣伝のための「SHIBUYA BOXING ART」広告が、アーティストや映画製作委員会との連絡の不備などを理由に取り止めとなりました。この広告は、絵具を付けたボクシング・グローブによって描かれましたが、ボクシング・ペインティングの手法は、篠原有司男氏が有名です。今回は、この事案を題材に、制作手法の模倣について考えます。

原作品を参考に、その著作権者に無断で類似の作品を制作した場合には、著作権侵害となり得ます(翻案権侵害。著作権法27条)。ただ、著作権法は、アイデアではなく、表現を保護します。このため、著作権侵害となるには、表現が類似する必要があり、アイデアが類似するだけでは著作権侵害にはなりません。アイデアには、学説、画風、書風、手法、着想などが含まれます。

POINT 2
制作手法

抽象画の独創的な制作手法には、絵具を滴らして描くポーリング(ジャクソン・ポロック氏)、ロープにしがみついて足で絵を描くフット・ペインティング(白髪一雄氏)、瓶に入れた絵具をぶつける投擲絵画(嶋本昭三氏)など...

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

宣伝担当者が知っておきたい 著作権なんでもQ&A の記事一覧

制作手法の模倣は著作権侵害になる?(この記事です)
「アイデア」と「表現」 著作物となる境界は?
「写り込み」 著作権法改正により 利用範囲が拡大?
漫画のキャラクター名 CMの登場人物に使って大丈夫?
ディープフェイク 法的にどんな問題がある?
オンライン・イベントの開催に必要な承諾とは?
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する