長く続くオウンドメディアには、企業を取り巻く環境変化やその時々の企業課題にあわせ、柔軟な目的設定をしているメディアも見られる。本座談会では異なる業界・ビジネスモデルの3社に、各社のオウンドメディアの目的設定やKPI設計についての考えを聞いた。
経営課題に合わせたオウンドメディアのコンテンツ
──各社のオウンドメディアの概要について教えてください。
松本:味の素では、各事業部がそれぞれデジタルマーケティングを行っているのですが、私が所属する調味料事業部で運営しているメディアのひとつが「AJINOMOTO PARK」です。「AJINOMOTO PARK」は2012年に誕生した当初は、生活者との接点を獲得し、ひいては会員獲得を促すことを目的に運営をしていました。コンテンツとしてはレシピ紹介が中心で、現時点で1万件を超えるレシピが掲載されています。
しかし、レシピサイトとして目標としていたPVを超えるまでに成長すると、次に課題になったのがレシピだけ見て離脱してしまうユーザーが多いということ。接点はつくれても、味の素として伝えたいことが伝えきれていないという課題感を抱くようになりました。そこで2020年に再度リニューアルを実施。“食の楽しさ”や“食の価値”の発信をコンセプトに、レシピ情報に加えキャンペーンやユーザーとの共創プロジェクトなどもコンテンツとして掲載しています。
宮崎:私はデジタルマーケティング部に所属しており、コーポレートサイトの運営と共に、オウンドメディアの「TIME&SPACE」を運営しています。「TIME&SPACE」は元々、紙の広報誌として発行しており2012年にサイトを立ち上げました。当時は広報部門で運営を行い、紙の雑誌がWeb化した内容でしたが、2014年にコンセプトを一新。Webコンテンツとして運営していくことになりました。
現在、発信している情報は大きく2つ。ひとつがKDDIの企業活動について、もうひとつがスマートフォンや通信に関するお役立ち記事です。以前は企業としての色は出さず、第三者目線での発信を意識していましたが、いまはコーポレートコミュニケーションとしての役割も大きく、SDGsの取り組みやブランドメッセージの背景にある活動などを企業として発信しています。
清水:マネーフォワードではオウンドメディアを主に、マーケティング目的として活用しています。サイトへの流入を促した後、最終的にはプロダクトページにつなげ売上のグロースを目指します。
現在当社で運営しているメディアは、確定申告や経費精算などバックオフィス業務の効率化サポート情報を発信する「Bizpedia」、会計に関する基本的な専門知識を発信する「会計の基礎知識」、消費者目線のお金の話題を取り扱う「MONEY PLUS」の...