創作活動に専念してもらうためバックオフィス機能を提供
ここ最近、全国放送のテレビ番組で活躍してきたようなタレントが所属事務所から独立するケースが相次いで報道された。芸能界だけでなく、個人が情報発信しやすい環境のなかで、マネジメント事務所に所属せず、独立して創作活動に取り組むアーティストやクリエイターも増えている。
しかしクリエイターたちは創作活動においてはプロフェッショナルでも、財務や法務といった活動を継続するために必要なバックオフィス機能については、知識がないケースも多い。そうした知識不足により、トラブルに巻き込まれるケースも少なくない。
こうした課題に着目し、新しい事業を始めたのがCiroci(シロシ)だ。
代表取締役社長の山田邦明氏は「シロシは生まれるはずの『もう1作品を創る』というミッションを掲げている。独立後も創作活動に専念できるように、パートナーとしてバックオフィス機能のサービスを提供していきたいと考えている」と話す。
マネジメント事務所とシロシのサポートの最大の違いは、シロシが法務、税務、労務、経理などのバックオフィス業務に特化している点にある。「我々がバックオフィス機能を請け負うことで、アーティストやクリエイターには、契約や税金等の支払いでトラブルに巻き込まれることなく、創作活動に専念することができる。また彼らと契約をしたい企業にとっても、法務等のプロ集団で構成されているバックオフィスがあることで安心できるはず」と述べる。
京大卒業後は弁護士に 上場を経験した後、起業を決意
シロシの設立は2021年1月。それ以前は、地元の岡山で地方創生事業に携わっていた。
さらにそれ以前は、全く異なる世界に身を置いていた山田氏。京都大学法科大学院を卒業後、弁護士としてスタートアップ向け法律事務所で活動。その後、アカツキで、上場業務を担当した。その間、業務を通してアーティストやクリエイターと知り合う機会を得たが、彼らが個人として活動する際に創作活動以外の業務に負担を感じていることを知った。
その後、アカツキが上場したタイミングで退社、「自分自身に向き合うため」に地元である岡山県に帰郷した。「仕事をすべて辞めて一度リセットするために戻った。岡山では、地方創生事業に携わったり、会社を立ち上げたり、スタートアップ企業の支援をしたりもした。それらの活動を通して、地に足がつき、本当にやりたい事業としてシロシを生み出すことができた」(山田氏)。
アーティストやクリエイターは、一夜にして有名になることもあり、社会的な注目が高いので騙されやすい環境にある。
「彼らにそういう社会の実情も知ってほしいからこそ、サポートをしたいと考えた。社名のシロシは、『白』の由来の『しろし』のこと。もともと...