現在よりもメディアの分散化が進んでいない時代に、すでに圧倒的な認知を獲得した老舗ブランド。長い歴史があるからこそ、培われてきたブランドイメージや顧客基盤は強みである一方、価値観の変化に合わせた進化も必要とされます。アメリカン・エキスプレス、おやつカンパニー、サンリオ、𠮷野家の4社のマーケターが考えるブランドのDNAと時代に合わせた変革のチャレンジとは?
[テーマ]
パーセプションチェンジによる老舗ブランドの持続的成長
[チームリーダー]
髙口裕之氏
おやつカンパニー
取締役専務執行役員マーケティング本部長
[チームメンバー]
杉本美穂氏
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.
個人事業部門 マーケティング部 副社長
木村真琴氏
サンリオCMO マーケティング本部長
田中安人氏
𠮷野家CMO グリッドCEO
公益財団法人日本スポーツ協会
ブランド戦略委員会委員
髙口:私たちのチームのメンバーはいずれも、長い歴史のあるブランドを担当しています。老舗と言われるブランドは、これまでもお客さまに支持をいただいてきたわけですが、これまで以上の価値をお客さまに提供するためにはどうすればよいのか、について議論を重ねてきました。各ブランドの変えるべきではないDNA、そのDNAの背景となるストーリー。さらに時代の変化に合わせて、DNAを守りつつも変えるべき部分について1枚のシートにまとめています[図表]。
杉本:私たち、アメリカン・エキスプレスでは、エクスクルーシブ(専有的)からインクルーシブ(開かれた)へ。成功、あるいはラグジュアリーの価値観に変化があるなかで、DNAを守りながら今の環境に合わせたブランド体験を提供しようとチャレンジをしています。しかし、これまでビジネスが堅調に推移してきたこともあり、成功体験を乗り越えて進化するのは簡単ではないと感じています。「うまくいっているのだから、変わる必要はないのでは?」という意識を変えるためには、内部に危機意識を醸成していく必要があると考えています。
田中:「ベビースター」は、僕たちの子どもの頃のスターブランドです。成功体験があるからこそ、杉本さんと同様に、なかなか社内で変化を起こすムーブメントを起こしづらいのではないでしょうか。
髙口:私は3年半ほど前におやつカンパニーにジョインしました。入ってみて...