人が1日に触れる広告の数は3000とも4000ともいわれます。その広告がジャマ者だと思われてしまえば、現代の消費者には広告をシャットアウトする術もあります。どうしたら「見たい、聞きたい、体験したい」コンテンツをつくり、届けることができるのか。4名のマーケターが自らの実践をもとに議論します。
[テーマ]
消費者の心を掴むブランドエクスペリエンス~成功要素と失敗要素~
[チームリーダー]
河合英栄氏
日本コカ・コーラ マーケティング ICX VP
[チームメンバー]
今井 新氏
I-ne 取締役・ブランディング本部 本部長
Endian 代表
遠藤克之輔氏
フェラーリジャパン マーケティングディレクター
森 繁弘氏
モンデリーズ・ジャパン 取締役
マーケティング本部長
河合:私たちのチームのテーマは「消費者の心を掴むブランドエクスペリエンス~成功要素と失敗要素~」です。私自身、日本コカ・コーラでの仕事を通じて、いま広告が「ジャマ者」として扱われているのではないか。それでは「ジャマ」なコンテンツ、モーメント/メディアから、「望まれる」コンテンツ、モーメント/メディアに変革するにはどうしたらいいか、チャレンジを続けています。
問題意識を同じくするチームメンバーの皆さんとのディスカッションで共有したのは「強いブランドではなく共感されるブランドを目指すべし」、「なぜそのブランドが社会に生き続けているのか?お客さまにどんなメリットを提供しているのか?パーパスを明確にし、そこを守り続けるべし」といった意見でした。そして青臭いと言われようとも、効果測定が難しくても、マーケターが石にかじりついてでも、守らないといけないことだ、という見解になりました。
こうした考えがあったうえで、消費者の方に「見たい、聞きたい、体験したい」と思ってもらえる広告をはじめとするブランド体験って何だろう?ということを考えていきたいと思っています。今井さんはブランド体験という点で今、どのような取り組みをしていますか。
今井:当社の「BOTANIST」というライフスタイルブランドを例に、取り組みを紹介したいと思います。「BOTANIST」でも、ブランドの存在意義をとても重要視していて、プロモーション企画やコンテンツをつくる際に、必ず「僕たちは何のために存在するのか?」を確認するようにしています。その上で、広告は「お客さまが貴重な時間を割いて、見ていただくもの」であるというマインドセットで企画を考えるようにしています。
特に重視している要素が3つあって、ひとつがその広告がお客さまをエンパワーメントするものであるか。お客さまにとって...