ものづくりからことづくり そして、「しなづくり」へ
ものづくりに勢いがなくなり、ことづくりこそが重要だと言われるようになって久しい。とはいえ、こうした言い方は二項対立を煽りやすく、意味のない論争を生み出す可能性がある。対立ではなく相補的なものとして考えるのがひとつのやり方である。あるいは、対立を鼎立(ていりつ)で捉え直すことが、重要なのではないだろうか。三鼎思考法というのは大げさではあるが、何事も二項ではなく三項で考えることが重要である。ここで三鼎の鼎、鼎立の鼎は、かなえと読む漢字であり、三脚の器のことである。
ものづくりとことづくりを二項対立から鼎立構造に持ち込むためには、「しなづくり」が重要である。真ん中に「食」という字を入れてみるとどうだろうか。食物・食品・食事となることがわかる。栽培・採取した食物を食品として流通させて食事を楽しむという流れが見えてくる。物=第一次産業、品=第二次産業、事=第三次産業である。かけ合わせて6次産業となる。ここは足し算でもいいのだが、どれかがゼロだと積がゼロになるので、どれが欠けてもダメだというメッセージになる、かけ算の方がいいと思う(個人の感想です)。