海外からの年間旅行者数は9割減 訪日外国人ビジネスの今後の展開とは
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い入国制限措置がとられるなど、海外からの旅行客が見込めない状況が続いている日本。コロナ禍での海外の顧客に対するビジネスの現状を、日本貿易振興機構(ジェトロ)の古川祐氏が解説する。
アイデアでコロナ鎖国を乗り越える!
総合免税店の代名詞と言われることもあるほど、インバウンド客からの人気を集めていた「ラオックス 秋葉原本店」は、訪日外国人の減少を考慮し2020年8月に日本人向け店舗としてリニューアルオープンした。今後の戦略について、国内リテール事業本部の広瀬泰則氏と海外事業本部の張琦氏に聞いた。
店舗入口には、ポップアップストア展開をしているキャラクターをディスプレイするなど、秋葉原の街に訪れた人の興味を引くような工夫が施されている。
日本を代表するサブカルチャーの聖地であり、海外からの観光客を集めてきた秋葉原。「ラオックス 秋葉原本店」は、総合免税店としてコロナ前の2020年1月まではインバウンド顧客による家電や化粧品などが売上の約9割を占めており、観光客が“爆買い”に訪れる光景がメディアで報道されることもあった。そんな秋葉原本店はコロナ禍による外国人観光客の減少により、店舗を改装。2020年8月に、総合免税店から国内にいる顧客を対象とした店舗へとリニューアルオープンした。
ラオックス国内リテール事業本部副本部長の広瀬泰則氏は、インバウンド消費が見込めない中で、自社が持つリソースをいかに活用するかを検討したと話す。
「当社には北九州にあるジャイアントスタジアムという恐竜のいる約2,000坪の室内遊園地のほか、各店舗に『アソビットシティ』というホビーショップの屋号もあります。海外からお客さまが来られない状況下において、サブカルチャーの街、秋葉原で新たな売上を生み出すため、資産を生かし、ホビーグッズを国内にいるお客さま向けに販売しようとリニューアルを決めました」。
以前は1階から7階までのすべてのフロアでインバウンド顧客に向けた商品を販売にしていたのに対し、リニューアル後の現在は、インバウンド向け商品を扱っているのは4階の1フロアのみ。その他のフロアでは、ファミリー層に向けたキャラクターグッズや恐竜関連グッズ、化石といったコアなファンを持つ商品など、幅広い...