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「テレビ広告」新時代

テレビとデジタルを切り離せない時代 急速に変化する環境に対応を

小出 誠氏(日本アドバタイザーズ協会)

日本アドバタイザーズ協会の電波委員会委員長を務める小出誠氏にコロナ禍でさらに加速したテレビメディアの環境変化に対して、広告主企業はどのように対応していけばよいのか話を聞いた。

テレビは“拡散が安く速い”が過小評価されているメディア

テレビは広告メディアとして過小評価されています。その背景には、過去テレビ側がその影響力や効果を可視化して、アピールしてこなかったという歴史があります。反面、デジタルは広告を含めて、さまざまな効果が可視化できることを強みとして成長してきたため、テレビとデジタルは、それぞれ効果が見えないメディア/見えるメディアとして、やや偏ったイメージができてしまっているのです。

また、デジタル広告はアドベリフィケーションなど現場で起きている問題点を経営層がほとんど認知せずに、効果が可視化できるという良い点だけを切り取って、過大に評価されているケースも少なくありません。

テレビが広告メディアとして持つ強みのひとつは、広告主の届けたいメッセージを確実に届けられる「受容性」です。広告を見た人が、その内容をしっかり受け入れられているかは、広告にとって重要な要素です。もちろん、これはテレビに限った話ではなく、新聞、雑誌、ラジオなど、昔から広告が根付いているマスメディアは、信頼性が高く、受容性は高いと思います。ただ、テレビはマスメディアのなかでも、受容性がありながら、さらに人々に広くリーチし、リーチ単価が安い点が強みと言えるでしょう。

受容性という面では、デジタル広告にはまだ進化が必要です。時に露出の仕方によっては不快に思われ、受け入れられにくい側面を持っているからです。

次にテレビとデジタルでリーチ単価の比較をしてみましょう。例えば、ざっくりですが、全国の世帯GRP1000と言えば、約6億回ほどCMが露出される計算になります。もしデジタル広告を動画で6億回、表示させようと考えれば、当然費用はテレビCM以上にかかりますし、そもそも1億回表示させることさえも難しいのです。このような、メッセ―ジがしっかり届き、拡散が安くて速いというのはテレビの大きな価値でしょう。

テレビの価値をわかりやすく表現するため、比較対象にデジタルを挙げましたが、デジタルを否定しているわけではありません。お互いの価値をしっかり理解し、それぞれの特徴を活かし、統合したメディアプランニングを考えることが重要です。

2000年頃までは、大きい予算があれば「まずはテレビに出稿しよう」と考えるのが普通でしたが、もはやそのような時代でもありません。いまは自社の...

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