広告マーケティングの専門メディア

           

ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

「医師」の協力のもと筆記時の疲れ軽減を追求 学生から大人まで愛用されて30年

ドクターグリップ(パイロットコーポレーション)

(左)1991 (右)2021

1991年にパイロットコーポレーションが発売した「ドクターグリップ」は、2021年で30周年を迎える。

発売当時は、まだPCが普及しておらず、伝票など大量の書類を手書きで記入するオフィスワーカーが現在よりも多く存在していた。そのような人々に向けて開発されたのが、ドクターグリップだ。

ボールペンは細いプラスチック製の軸のものがほとんどであった時代に、同社は医師の意見をもとに、首・肩・腕の筋肉に最も負担をかけない形状を開発。太い軸とラバーグリップが特徴のボールペンが誕生した。

「今では多くのボールペンやシャープペンシルにラバーグリップが付いていますが、普及するきっかけとなったのがドクターグリップでした。プラスチックは滑りやすく、握る際に力を入れがちになるため、滑り止めとしてラバーを付けることで余分な力を入れる必要がないようにしています。また、力を入れて握ることを避けられるような太さも徹底して研究。この2つの特徴により、筆記で手を痛めている方の負担を軽減できればとの思いでドクターグリップは生まれました」と同社・広報部の田中万理氏は話す。

医師の協力を得て開発されたことから“ドクターグリップ”という商品名も生まれたという。

書類作業などで手を痛めている人に向けて発売されたドクターグリップだが、“筆記による手の疲労を軽減したい”というニーズは同社の想定よりもはるかに大きく、多くの層に広まっていった。

また翌年1992年には、学生をターゲットに同様の形状でシャープペンシルを発売。本体を振ることで芯が出る“フレフレ機構”も搭載し、学生の間で大ヒットした。

PCが普及し、以前よりオフィスでの筆記具の使用頻度が減った現在では、ドクターグリップは学生に対するアプローチをより強めている。

視点01 商品開発
ターゲットの変化に応じてラインアップを拡充

1992年にシャープペンシルを発売して以降、ドクターグリップでは学生に向けてラインアップを拡充。アップルのiMac発売により世界的に流行したスケルトンカラーを取り入れたカラーバリエーションや、勉強中にリラックスできるようノック部分にアロマスティックを搭載した「アロマシリーズ」などの展開をみせた。

機能面で大きく変化したのは2003年。従来以上に筆記時の疲労軽減にこだわった「Gスペックシリーズ」を発売した。Gスペックシリーズは、筆記具を動かす際、一番少ない力で動かせるよう重量バランスに着目している点がポイント。ペンの両端を軽く、ボディの中心部を重くすることで...

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略の記事一覧

ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略の記事一覧をみる

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する