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経済学の視点

後にならないと判断できない「 バブル」の経済学

飯田泰之氏(明治大学)

いま、株価が高い理由 コロナショックの特異性

コロナショックは、過去に例のない規模をもって経済・社会に大きなダメージを与えています。これは誰でも直観的に理解できることでしょう。その一方で、日経平均株価は昨年の大納会(12月30日)を2万7444円と31年ぶりの高値水準で終え、緊急事態宣言を受けても大幅な低下は、執筆時点では、観察されていません。明らかに悪い実体経済となぜか高い株価を見て、これはバブルだと感じる人も少なくないようです。しかし、バブルとはそもそも何なのでしょう?

「バブル」のひとつの定義として、「資産価格が値上がりしていることが、今後の価格上昇予想の主な根拠になっている」というものがあります。しかし、この定義はかなり危うい。実際に急速な資産価格上昇のまっただ中にいるとき──さらに買い進めている人がもっと上がると考える理由は、これまでも値上がりしていたからだけではありません。

80年代後半の土地バブルにおいて、地価高騰予想を支えたのが「近い将来、東京は世界の金融センターとなる。オフィス需要は青天井である」という予想です。この予想が誤っていたことは今では明らかですが、少なくとも当時は現実味のある話として受容されていた。だからこそ、東京の地価はあがり...

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