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経済学の視点

アダム・スミスとひとり勝ちの経済学

飯田泰之氏(明治大学)

生存戦略における分業化とルーチン化

経済学の父と言えば、アダム=スミス(英 1723-1790)。1776年に公刊された『国富論』から経済学の歴史がはじまる―と習った方も多いでしょう。『国富論』の本編はとある工場の例からはじまります。

スミスが観察した工場では、製造工程を18にわけて、10人の労働者が1日4万8千本の“ピン”をつくっていました。職人一人では1日20本程度しかつくれないことから、分業には240倍もの生産性向上効果があるということになります。

この事実から、スミスは経済成長の源泉は分業にあり、売上が大きいと、より細かな分業が可能になると考えました。そして、この売上増加のためには自由貿易によって市場を拡大していく必要があると議論を進めます。

しかし、現代ではこのスミスの議論には大きな問題点があることが知られています。売上が多いほど、分業が可能になり、生産性が高まるとしたら…大きい企業ほど生産性が高く、ひいては製品を安値で販売できる。このような「大きいことはいいことだ」という経済原則が多くの産業で成り立つならば、各産業で、トップ企業以外は生き残れないということになります。

現実の経済においても、パソコンのOSやその他の...

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