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コロナ後の再・予約につなげるため宿泊施設は何ができるのか?

伊藤泰斗氏(宿泊施設活性化機構)

感染拡大の予測は難しいため、旅行を計画し予約をしていても、直前でキャンセルせざるを得ない事態も多数発生している。しかし、キャンセル=お客さまではなくなる、というわけではない。ここでは、宿泊施設はそのキャンセル対応の仕方によって、次回予約につなげられるのか、について、宿泊施設活性化機構 事務局長 伊藤泰斗氏が解説する。

社会的正当性を勝ち得た? コロナ時代のキャンセル事情

急な仕事や体調不良、身内の不幸、自然災害など、偶発的要素における旅行予約のキャンセルは、時代背景に関わらず過去から存在していました。

そこに「一大イベントとしての旅行」から「気軽な娯楽のひとつである観光」へカルチャー変革があり、加えてITの発達により瞬時の比較検討や予約・キャンセルが極めて容易になりました。そして、キャンセルは許されて当たり前の行為へと変化してきたのです。

さらに、「Go To トラベル」による価格と価値の錯覚、コロナという社会的正当性の後押しで、予約をキャンセルすることは国民として当然の権利であるかのような風潮すら出てきているように思えます。

そのような状況下で今回、私に提示されたテーマは「一度キャンセルしたゲストを次回の予約につなげることができるか?」です。

結論から申し上げると、「キャンセルから次回予約につながる戦略」を築き上げることは容易なことではありません。もちろん、一度は予約を実行していただいたということは有利なポイントです。なぜならば、「少なくとも当該宿泊施設の認知がある」「当該宿泊施設に対する好感度が低くない」という基本的用件は満たしているゲスト(顧客)だと分かるからです。

購入に至るまでの態度変容のプロセスで言えば、AISAS(宿泊業ではAISCEAESと細分化して考える向きもある)の8段階中6段階までクリアしているゲストであるため、再予約を促すことは有効性の高い施策だとも考えられます【図1参照】。

図1 旅行客における態度変容のプロセス
ネット上にて予約から決済まで一連の購買行動が完結可能な宿泊(旅行)関連産業においては、AISASへのパラダイムシフトは既に全面的に進行しており、Search-Shareという段階は細分化され比較(Comparison)、検討(Examination)、評価(Evaluation)という新たな機能を消費者が利用してブランドが形成されています。

しかし、実際にその施策を実施して成果を出すことは難しいと考えます。なぜならば、宿泊業界においては、いまだプロダクトアウト思考が根強いことが関係しているからです。よいサービスを提供していれば、顧客は来てくれるはず、という考えがあり、顧客の理解やその理解に基づくコミュニケーションプランにあまり目が向けられてこなかったのです。

“なぜ認知されたのか?”、“どのようなルートで認知されたのか?”、“予約に至った要素は何か?”など仮説を立案し、検証するという行為すら現状は疎かになっています。キャンセルゲストを次回予約につなげることに本気に取り組むのであれば、以下の7つの要素が重要になります。

  • 自社や競合の評判を収集・把握する「情報収集力」
  • 収集情報に基づき、課題を洞察する「情報分析力」
  • 戦略の構築と目標管理・見直しを実行する「戦略構築力」
  • ゲストタイプに合わせてメッセージを開発する「情報創造力」
  • 複数の情報発信手法を複合的に駆使する「情報発信力」
  • 重点ゲストを抽出し信頼関係を高める「関係構築力」
  • 組織一体となって活動する意思決定する「広報組織力」

これらの7つの力を最低限のレベルでも、すべて構築することは、一朝一夕でできるものではありません。ですから「キャンセルゲストを次回予約につなげる戦略」を実行するのは容易ではないという結論にならざるを得ないのです。

情報を正確に把握した上での戦略策定でなくては意味がない

次に、前述の7つの項目を実施できる体制が構築されたと仮定して、どのような戦略が必要になるのかを考えていきましょう。

宿泊業界においては、ゲストに関する情報分析や統計解析がほとんど行われていないため、まずは戦略を立てる前に正確な情報を把握し、対応を考える必要があります。例えば...

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