宣伝会議は11月10日、11日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて「宣伝会議サミット」を開催しました。今年はコロナウイルスの影響を鑑み、リアルイベントとライブ配信のハイブリッド形式で実施。また今回、初の試みとして2014年から活動を開始し、現在100社を超える企業のマーケターが参加をする「CMO CLUB GLOBAL」のフォーラムも併催しました(「CMO CLUB FORUM 2020」の詳細については2021年2月号に掲載予定)。
今回の「宣伝会議サミット」のテーマは「Move on The Next Stage」。コロナ禍で社会状況や消費者の態度が変化するなか、企業には次のステージである“新しい日常”に適したマーケティング活動や顧客価値の提供が求められています。それでは、企業は具体的にどのようなことに留意して今後の活動指針を決定していけば良いのでしょうか。ここでは、新しい広告・マーケティングの方向性にかかわるヒントが満載のセッションについて、紹介します。
理念に応じたアクションでメッセージに説得力を持たせる
──サイボウズでは3月から「がんばるな、ニッポン。」という広告を。ユニリーバの「ラックス」では「採用の履歴書から顔写真をなくします」という広告を展開しています。メッセージ性の強い広告ですが、この広告コミュニケーションに至った経緯をお聞かせください。
高野:「ラックスソーシャルダメージケアプロジェクト」の「#性別知ってどうするの」という企画は、無意識に生じる性別への先入観に対する気づきの発信を目的としたものです。日本は世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」が153カ国中121位(2019年)。当社が書類審査経験者を対象に実施した「採用におけるジェンダー・ギャップの現状調査」では、約27%の人が採用過程で平等に扱われていないと感じていました。この問題が根深いのは、こうした状況を日本社会はノーマルだと思っていることです。
別の当社の調査では日本の社会にとって重要で関連性があるSDGsのトピックの中で、「ジェンダー平等を実現しよう」は全17項目中10位にとどまりました。今回「採用」をテーマにしたのは、当たり前だと思われている状況に変革を起こしたかったから。このプロジェクトは、社会に気づきを発信し、性別への先入観を取り除くアクションを起こすことを目的としています。
大槻:私たち、サイボウズがコロナ禍に打ち出した「がんばるな、ニッポン。」という広告は、「日本人はがんばりすぎなのに、『がんばるな』と言ってくれる人は、なかなかいないという気づきから生まれました。コロナ以前の...