5月末、大日本除虫菊「もうどう広告したらいいのかわからないので。」の新聞広告が話題になった。多くの企業が広告のしかたに頭を悩ませていた時期に“新聞広告だからこそ”のクリエイティブが生まれた、その背景とは何か。同社の広告に10年以上携わってきた電通 関西支社の古川雅之氏と、大日本除虫菊 宣伝部の北伸也氏に話を聞いた。
共にチャレンジングなコンテンツづくりを
──―コロナ禍で、新聞や新聞広告の持つ役割はどのように変化したと感じますか。
新聞というメディアの特徴を3つ考えてみました。まず扱われている面積の大きさによって、情報の重要度が一目でわかること。政治経済、スポーツ、文化と、あらゆるジャンルが一挙に網羅されていること。そして、いつ掲載されたかが明確で、ニュースの続報含め時系列がわかることです。また最近では、SNSなどは事実に基づく「情報」と、書き手の「意見」との垣根が曖昧でグラデーションになっていることも多い。その点、新聞は情報は情報、意見は意見とはっきり分かれているのも特徴だと思います。
コロナ禍が起こり、様々な情報が飛び交いました。自分で情報の真偽を確かめ、背後にある文脈まで見極めるスキルがより大切になっているなかで、新聞は“誰に対しても情報を正しく伝えてくれるメディア” “読み手のストレスの少ないメディア”だと再認識しました。そのようなメディアに掲載される広告は、やはり信頼度を持って受け入れられるものだと思います。
デジタルメディアに対して、新聞はオールドメディアと言われることが多い。でもSNSとの親和性は非常に高いと考えています。新聞広告を見た人が他の人に伝えたくなるようなメッセージやコンテンツをつくることができれば、新聞を購読していない人にも届くというのは実感しています。
また、これはコロナ以前からあることですが、近年、USP(Unique Selling Proposition)など...