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戦略策定から社内調整まで DX・データ利活用

マネジメントと利活用を両輪で回す「現場で活きる」データ戦略組織

佐藤満紀氏(花王)

アフターコロナの世界は人々の生活様式が変わり、マーケティング活動に過去のデータが使えない場面も多く出ている。データ分析の組織力にもともと定評のある花王は、マーケティングにおけるデータ利活用の推進にどのように向き合っているのか。同社マーケティング創発部門 コンシューマーリレーション開発部 データ活用戦略担当部長である佐藤満紀氏に聞いた。

純粋にデータ分析に集中できる環境を整備する

花王は今年1月、マーケティング部門にデータ分析とデータマネジメントの2つを担う新たな体制を構築した。同社でマーケティング部門のデータ活用戦略担当部長を務める佐藤満紀氏は、「今後のデータ活用は明確に両輪で回す」と話す。新体制が始動した狙いはどこにあるのか。

「私たちのミッションは5年、10年先のあるべき姿やありたい姿を見据え、DXやD2Cなども踏まえて組織の意思決定をサポートする情報を提供することです。そのために今、データ分析の環境を整備したり、分析のレベルアップに取り組む必要があります。ただ、これまではデータサイエンティストが、データの収集や分析、課題の整理まですべてを一手に引き受けてきました。いわゆる分析官依存型です。しかも、同じ会社の中では似たような課題や、似たような対応をすべき分析が少なくありませんでした。それならデータ利活用と、データの収集・管理といったマネジメントは、一旦分けたほうが生産性は上がるのでは。そうした課題感が新体制構築のスタートになっています」(佐藤氏)。

データ分析のアウトプットには、日ごろのデータ収集や管理といったインフラ整備に相当な工数がかかる。ならば必要な情報基盤を、あらかじめなるべく低コスト、高品質でつくっておく。これが極めて重要だと佐藤氏は話す。

「分析官にすべてを一任すると負荷が大きく、活動が思うように回りません。データのインフラとセットで動かないと、データ分析は効率が悪い。ですから、データサイエンティストが能力を最大限発揮して、純粋にデータ分析に集中できるよう、そこを支えるチームを明確に設けました」。

データを利活用するかどうかで長期的に企業間の差は広がる

同社の新しい組織体制は、データの利活用をうまく回すための重要なポイントとなりそうだ。とはいえ、そもそもデータ戦略を担う組織を最適化していくほど、企業活動においてデータの利活用は必要なのか。企業活動に何か明確な差は出てくるのか。これについて佐藤氏は、「短期的には差は出にくい」と話す。

「例えば新型コロナウイルスの影響で、私たちの生活様式は大きく変わりました。お客さまの行動が変わり、さまざまなカテゴリーの売上に大きく影響しています。社会全体を見ても、世間の衛生意識が高まったことで需要が増加しているカテゴリーもあれば、外出自粛の影響で売上が減少しているカテゴリーもあります。減少した売上は、データの利活用ですぐに挽回できるものではなく、この未曾有の状況では過去のデータもあまり役に立ちません。短期的に見れば、データ利活用は焼け石に水といえます」。

では、データは何に貢献するのか。データを計測・収集し、課題解決に合った手法で分析し、意思決定に必要な情報に変えていく。その情報を見た人間が、意思決定し、活動を修正していく。さらにデータが集まる。「そうした繰り返しができるかどうかがデータを活かす条件」だと佐藤氏は言う。

「データ利活用は、地味で泥臭いものですが、一連の活動を地道に繰り返すことで真に顧客を理解でき...

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