消費者の購買行動がデジタルシフトする中で、多くの企業が販売チャネルのデジタルシフトに対応してきた。しかし顧客との直接接点がない製造業などは、思うようにデジタル化は進んでいない状況にあった。それが、今回のコロナ禍で一転。コマース領域のDXの取り組みが国内でも加速しているという。コロナ禍で、いま日本企業のコマースマーケティングはどう進化しているのか。電通の「Dentsu Commerce Room」の小林氏、山内氏、ネイト氏に話を聞いた。
盛り上がるコマースマーケティング 電通でもグループ横断組織が発足
販売チャネルが多様化したことで近年、コマースマーケティング戦略の重要度が増している。オフラインのチャネルはもちろん、オンラインのチャネルをどう活用するか、それぞれの企業やブランド特性に合わせた戦略策定と実行が求められている。
実際、電通などが2019年7月に初めて推計を発表した「物販系ECプラットフォーム広告費」では2018年は822億円(参考値)、2019年は1064億円で参考前年比129.4%と急速に伸びていることがわかった。ちなみに、この「物販系ECプラットフォーム広告費」とは、生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うEC(電子商取引)プラットフォームのことだ。
こうした市場の盛り上がりを受け、電通では2019年7月に「Commerce Marketing Conference─顧客体験(CX)が、ブランドの価値を変える」と題して、宣伝会議と共にコマースマーケティングのイベントを実施。グローバルにおけるEコマース市場の成長や実店舗などオフライン領域で急速に進む、AI、IT、ロボ化についてなど小売り、メーカーなどさまざまなプレイヤーが登壇し、ディスカッションが繰り広げられた。
メーカーの取り組みとしては花王、サントリーコミュニケーションズ、フィリップス、I-neの事例が紹介されたが、その中では「広告コミュニケーションメディアと販売チャネルの融合」「ECプラットフォームに対応した、独自商品開発」などの動きが紹介された。
コマースマーケティングはオフラインチャネルへの対応はもとより、新たにオンラインでの販路開拓も求められるなど、実行に際しては複合的なスキルが求められる。
こうした状況を受け、電通では今年3月、国内グループ横断組織として「Dentsu Commerce Room」を発足。電通、電通デジタル、電通テック、電通ダイレクトマーケティング、電通リテールマーケティング、電通tempo、アイプロスペクト・ジャパン、電通アイソバー、セプテーニ、電通北海道、電通東日本、電通西日本、電通九州、アド電通大阪、barritz、電通ライブ、ザ・ゴール、電通マクロミルインサイトの18社で構成される組織だ。
各社が培ってきた専門的なソリューションをワンストップに組み合わせ、「顧客体験」(CX)の改善と事業主の売上向上を同時に目指すという。
Dentsu Commerce Roomのネイト・シュリラ氏は...