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コロナと製造業

商品価値による顧客貢献──モノがあるからこそのデータ利活用

玉井博久氏

コロナ禍の影響でオンラインシフトが加速するなか今後、製造業が視野に入れておきたい3つのヒントの内、今回は3つ目のセルフディフェンスに着目する。生活者の自己防衛する気持ちが増幅しているなか、モノがある製造業だからこそ顧客に役立てるデータ利活用の対策について考えたい。

人からの「承認」の欲求から「安心・安全」の欲求に

ビフォーコロナの時代にはインスタ映えという言葉が浸透し、その少し前にはFacebookに本来の自分よりも盛った生活を投稿し、いいね!を集めることに夢中になっている人が増えていることが話題となっていた。人から承認されることで、自分の欲求を満たしていた人々が、コロナ禍により突然、生きるか死ぬかの世界に突き落とされた。マズローの欲求5段階説で言うなら、上位の階層から、下層の安心・安全まで一気に突き落とされた形だ。

いま世界のあらゆる人たちが、まずは自分の身の安全を確保したいという欲求を増幅させている。毎日何百人という単位で新型コロナウイルス感染症による死者がインターネットやテレビを通じて報道される。気付けば、ジワジワと自分の回りに感染者が出始めている。でも、見えない敵はどこまで近づいているのかすら分からない。分からないから余計に恐怖心をあおられ、結果的に感染することから自己を防衛しようとする。

感染症が無事に終息したとしても、新たに同様の未知なるウイルスがやってくるかもしれない。今回の出来事はある意味、トラウマのように人々の頭に記録されてしまった。だからこそ、人々の中で、また同じような危機が訪れても、病気にかからない自己防衛意識というものが芽生えている。免疫力を高めておけば感染しない可能性が高いし、万一感染しても病気に負けずに済むだろうという意識だ。

免疫力、抗体力のためなら個人情報を提供しても構わない

見えない敵に対して自分の体を防衛する。安心・安全が基本になり、病気にかからないための自己防衛意識が非常に高くなる。免疫力を高めて病気にならないようにしたいと世界中の人々が願っている。新型コロナウイルスでなくとも、違う病気にすらかかりたくない。病気の予防ができれば病院に行く必要もない。免疫力が高ければ万一感染しても未知の病気に負けないはずだと考える。

免疫力、抗体力を高めるために、人々は例えば健康診断を定期的に受けたいと思うようになったり、日常的に運動をしたいと思うようになったり、安全で健康的な食生活を確保したいと思うようになったりしている。平たく言えば健康であろうとする意識となり、例えばインドネシアでは免疫力を高めるためにショウガやウコンなどが人気になったり、日本では納豆やヨーグルトが売れたりした。衛生意識もアップして、外出して家に帰ってきたら真っ先にシャワーを浴びるということを私はやっているが、同じようにしているインドネシアの人も多いと聞く。

このように衛生的な振る舞いを心掛けたり、運動や食事によって体調管理に気を配ったりして...

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