社会実装を重視し包括的なAI活用を支援
「AIを使って何をしたらよいかわからない」「AIについて知識のある人材がいない」…。そんな課題を抱える企業のために、包括的なAI活用の支援を行っているのがSTANDARD(スタンダード)だ。
同社は、AI人材育成のための法人向け研修サービス「AI-STANDARD」を起点に事業を開始し、現在は中長期のデジタル変革戦略の立案をするDXコンサルティング、さらにAIプロジェクトのPoC・本開発・運用といったAIソリューション開発のサービスも提供している。
スタンダード・代表取締役CEOの石井大智氏は「当社は『ヒト起点のデジタル変革をSTANDARDにする』というミッションを掲げて設立した会社。私自身がAIの受託開発を手掛けた際、ユーザーのリテラシー不足のために、納品した最先端のAIが搭載されたシステムを使いこなしてもらえなかったという苦い経験があった。そこから、技術の『研究』を突き詰めるよりも、いまある技術を『活用』するための方法論を提供した方が役に立てそうだと考えるようになった」と説明する。
母体は東大のサークル 人や技術をつなぎたい
スタンダード社の創業は2017年。同社がユニークなのは、その母体が2015年に発足した東大のAI勉強会にある点だ。2016年には勉強会が、東大人工知能開発学生団体「HAIT Lab」というサークルに発展。「『HAIT Lab』はAIを中心とする先端技術を使って、データ取得から、分析、プロダクト開発までをフルスタックに実装できる人材を育成するコミュニティ。育成後は企業プロジェクトやハッカソン参加を通じて実践的なスキルや経験を積んで力をつける場が提供されている」という。
当初10人だったメンバーが80人にまで膨れ上がった時期もあったが、一方で石井氏は次々に挫折して退会するメンバーの姿を目のあたりにする。理由はAIを使いこなすことの難しさにあった。
そこで石井氏はメンバーとともにAI活用のマニュアルとも言うべき、AI人材育成のための教材を作成。これこそが現在、スタンダードが提供する法人向け研修サービス「AI-STANDARD」の基盤となっている。研修サービスのビジネス化のきっかけは、サークル内で使用していたテキストが大手企業でインターンをしていたメンバーを通して、担当者の目に留まり、ビジネスの世界でも需要があることがわかったためだ。
現在、スタンダードの社員は3人。全員サークル立ち上げ時からのメンバーだ。さらに東京大学大学院教授の越塚登氏がアドバイザーとして参加しているほか、「AI-STANDARD」の作成には...