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社会学の視点

妖怪とコロナの時代

遠藤 薫氏(学習院大学)

危機の時代のストーリーテリング 招き猫ロングヒットの秘策?

最近、深夜ドラマの『妖怪シェアハウス』にはまっている。妖怪たちに振り回され、支えられるヒロイン(小芝風花)が健気でキュートだ。

江戸末期、かわら版では妖怪たちがバズっていた。その頃、時代は風雲急を告げていた。黒船が頻々とやって来る。とんでもない大地震が立て続けに起きる。異常気象で食糧が不足する。そしてまた、天然痘やコレラなどが次々と人々を襲う。不安とともに生活する人々の心に刺さったのが、アマビエを始めとする得体の知れない妖怪や、「流行神」と呼ばれる多種多様な神様たちだった。江戸市中のそこここに、「行列のできる」神様たちが現れたのだ。

多くはすぐに忘れられてしまったが、生き残ったものもある。たとえば「招き猫」である。幕末の浅草でヒットしたのは、「丸〆猫」という、愛らしい土人形だ。当時の浮世絵にも人気の様子が描かれている。この人形には物語がついている。

あるおばあさんが、長いこと猫を可愛がって飼っていた。けれども年をとり、貧しかったので、「もっとお金持ちの家に行きなさい」と猫を放した。すると夢の中に猫が現れて、「おばあさん、これまでありがとう。私の姿を人形にして売ってください...

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