購入に至るまでの道筋を視覚的に読み解く
前回(第1回:消費者の「願い」からヒントを得る)、あることをより深く理解するためには、文脈情報が重要だと述べた。今回は文脈と共に人間の行為や判断を理解するための質的研究法TEM(複線径路等至性モデリング)について紹介する。TEMは人間の行為や判断を二次元的に表現して、その促進要因や妨害要因を図示する質的研究法である。
暑いからアイスを食べよう、という時とは異なり、高額な品物を買う時には、そう簡単に決断して行為を起こすことはない。「犬を買おうと思った→ボーナスが減った→家族が賛成した→買った」というような複雑な径路を辿ることは起こりうる。つまり、何かを買おうと思ったが横やりが入り、しかし持ち直して結局は買った、というようなプロセスがあった時、普通は、時間的に一直線的な表現になる。年表的な表し方である。
時間の次元に加えて、もうひとつの次元を加えて何かを買うプロセスを表現すれば図のようになる。
この図において、A~Cは分岐点と呼ばれ、複数の径路(選択肢)が生じているポイントである...
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