「昨年通り」の広告プランニングが通用しなくなりつつある時代。企業やブランドは限りある予算でより最適な効果を生むことが求められるなか、不確実な状況でも適切な予測を行うため、マーケターはデータにどう向き合っていくべきなのか。TVISION INSIGHTS 代表取締役社長の郡谷康士氏に話を聞いた。
テレビデータ活用は次の段階へ より良く活用する方法を考える
テレビを取り巻く環境はここ10年で、大きく進化を遂げてきた。圧倒的なリーチ力、投資効率を背景に、メディアプランニング、効果測定において決して、データの利活用が盛んだったわけではない業界が、変貌を遂げているのだ。
ディスプレイの先にいる視聴者が誰なのか、さらにどのような態度で視聴しているのか。これまで知ることのなかった、視聴質までデータとして提供されるようになっている。加えて、リサーチ会社各社が提供するシングルソースパネルデータを用いれば、テレビCMと店頭の売上の相関も解き明かすことができるようになっている。
ここ数年の日本におけるテレビマーケティングの状況について、TVISION INSIGHTS 代表取締役社長の郡谷康士氏は、「データ活用の第2ラウンドが始まっている状態だ」と言う。
TVISION INSIGHTSは2015年に創業。日本より進んでいる米国のデータを活用したテレビマーケティングの手法を日本市場で広めてきた。具体的には、同社ではテレビに独自の人体認識技術搭載センサーを設置し、毎秒取得しているデータをもとに、テレビの前の人の有無を表したVI値(Viewability Index)と、視聴者の顔の向きや視線から視聴態勢を数値化したAI値(Attention Index)を出し、2つを掛け合わた数値を「視聴質」として提供している。
「日本でも数年前からさまざまな企業が仕込んでいたデータ取得の仕組みが成熟してきた状況にあります。さらにその仕組みやデータを活用する企業も増え、広告主側にも知見が蓄積されてきています。データが整備されてきた中で、第2ラウンドが訪れようとしている。それは、ただデータを活用するだけではなく、より良くデータを活用しようという流れです」(郡谷氏)。
広告界の潮流を受け、広告主をサポートする新しいテクノロジーやツールを持つ企業の参入が相次いでいる。ただ、これからはお互いを競合として捉えるのではなく、データを持つ側と活用をサポートするテクノロジー側が切磋琢磨し、両輪でテレビマーケティングを進化させていく必要があると郡谷氏は指摘する。
「テレビマーケティングを進化させるというのは、テレビがほかのメディアよりも優れていることを示そうとすることではありません。まだテレビの真価を十分に活用できているとは言えない状況にあり、いわば伸びしろがある状態。まずは...