コピーでは、ブランドや商品の特徴、隠れた魅力を簡潔に「価値」として表現することができます。過去の名作から最近話題になったものまで、広告コピーの秀逸事例を紹介します。
Case 01 アップル「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから。」
クレイジーな人たちがいる。
反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。
四角い穴に、丸い杭を打ち込むように
物事をまるで違う目で見る人たち。
彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。
彼らの言葉に心をうたれる人がいる。
反対する人も、賞賛する人も、けなす人もいる。
しかし、彼らを無視する事は誰にもできない。
なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。
彼らは人間を前進させた。
彼らはクレイジーといわれるが、
私たちは天才だと思う。
自分が世界を変えられると
本気で信じる人たちこそが、
本当に世界を変えているのだから。
Think different.
本文中でも触れた「クレイジーな人たちへ。」の広告シリーズに出てくる一節ですが、これこそがアップルのコアバリューであるとこの広告が公開された当時スティーブ・ジョブズ自身が解説しています。ジョブズ復帰前の数年間でブランド価値が地に落ちたアップルを復活させるために、ジョブズはアップルの存在意義を見つめ直し、ブランドの原点ともいえるこのコアバリューに立ち戻るという戦略を取りました。まさにブランドステートメントの鏡といえる言葉だと思います(蛭田氏)。
Case 02 本田技研工業「いちばん進んだ技術を、いちばん身近なクルマにのせること。CIVIC Message.」
最近、過去の自動車の広告事例を調べている時にこのコピーが目に止まりました。今後D2Cが進展し、メーカーと消費者の関係がいっそう密接になると、目を引くだけのキャッチフレーズはあまり意味をなさなくなるのではと思います。このコピーはアイキャッチ的な機能を果たしているというより超簡潔なブランドステートメントともいえ、メーカーの想いがまっすぐ消費者に届く。20年以上も前のコピーですが、今でも十分有効な話法だと思います(蛭田氏)。