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米国広告マーケティング事情

コロナウイルスの影響で変化する国民的行事、Back To Schoolキャンペーン

松本泰輔

アメリカでは9月からの新年度を控え、7、8月にBack To Schoolキャンペーン(以下、BTS)が開催される。文房具から、パソコン、秋・冬物の洋服にいたるまで、翌年の春までの必需品をまとめ買いする国民的行事だ。

BTSは年間消費のなかでも大きなウエイトを占めており、「2020 Deloitte back-to-school survey」によると、「今年はコロナ感染による影響から、文房具などの伝統的なアイテムの支出は減り、コンピュータ・IT関連製品とヘルスケア・ホーム製品への支出が増え、昨年対比2%増の281億ドル(約3兆円)にのぼる」と予測しているという。

ウォルマート「行き先が家でも学校でも、BTSはおまかせ」

本原稿を書いている時点でほとんどの州が新学期から学校を再開するか否か、するならどういう態勢かなど、まだ協議中である。そこで小売業界は「学校に行くか、家で勉強するか、どちらにせよ必要品を揃えよう」というトーンでBTSキャンペーンを展開している。ウォルマートは7月初旬、”However you go back, we’ve got your back”のキャッチコピーを持つCMを放送開始した。要約すると「あなたがどこへ帰っても、私たちがついているから大丈夫!」となり、学校でも家でもBTSならウォルマートにまかせなさい、と訴えた。

またウォルマートは同時に、春から自宅での勉強時間が増えたことで全米に浸透したリモート・ラーニングを訴求するキャンペーンを展開している。子供向けテレビ局PBS Kidsとデジタル教材を提供するABCMouseとタイアップし、自宅でできる科学実験やデジタルツールを店舗とオンラインで提供している。「学校に行けなくても、自宅で楽しく勉強できる」と不安な夏を過ごす子供や親たちを勇気づけるメッセージを送った。

ウォルマートのライバル企業、ターゲットも同様に「学校でも家でもBTSショッピングはターゲット」というコンセプトで全米キャンペーンを展開中だ。7月中旬開始の15秒CMでは通常のBTS広告で見られるような、子供がバスに乗り学校へ行くシーンなどはなく、鉛筆・定規・コンパスなどの文房具が歩いてバックパックに入っていく様子をCGで制作した。「必要アイテムをすべてチェック!Ready For School at Target」と表現している。「学校」や「家」などという言葉は使わずに、「揃えるものはすべてターゲットで」と訴える。

(1)ウォルマート

“However you go back, we’ve got your back”のキャッチフレーズで展開するBTSキャンペーンCM。コロナ感染拡大により、学校に行くか、家で勉強するかわからない家庭へ配慮したメッセージを届ける。

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