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社会学の視点

猫のしっぽとテレワーク

遠藤 薫氏(学習院大学)

緊張した心を解きほぐす「異化効果」がもたらすもの

パソコン画面に突然、猫のしっぽが現れて、パタンパタンと振れたので、びっくりした。オンライン会議中のことだ。いつも真面目なA先生の愛猫がPCを占拠したらしい。

7月末、西村経済再生担当大臣は、新型コロナ対策の一環として、「テレワーク7割の推進を」と求めた。いまや、企業や学校のオンライン化の流れは激化している。とはいえ、やはりまだまだオンラインでのコミュニケーションはぎこちない。機器の操作を間違える。途中で回線が切れる。声が聞き取りにくい。相手の表情が読み取れない。などなど。つい緊張して肩に力が入る。

そこに突如現れた猫のしっぽ。仕事の場だから、みな素知らぬ顔だけれど、それでも何となく会話がなめらかになった。なぜだろう?

あまりにも勝手気ままでその場の空気なんて読まない猫が、肩肘張った場に闖入することで起きる効果は、ドイツの劇作家ブレヒトが提唱した「異化効果」の一種ともいえる。「異化効果」とは「日常見慣れたものにちょっと手を加えることで未知の異様なものに見せる効果」である。それによって先入観から解放され、新しい世界の見方を手に入れることができるとブレヒトは主張した。猫のしっぽは...

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