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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

女性のいま好きなことに寄り添って『anan』創刊50周年

マガジンハウス「anan」

(左)1970 (右)2020

1970年3月に平凡出版(現・マガジンハウス)が創刊した『anan』が、2020年で50周年を迎えた。創刊当時、同社では月刊誌『平凡』『平凡パンチ』などを刊行していたが、女性向けの雑誌はなかった。そこでフランスの女性誌『ELLE』の日本版として『anan ELLE JAPON』を創刊した。『anan』編集長の北脇朝子氏は、当時からマガジンハウスの雑誌はどれも発明だったと語る。「女性誌のサイズとして一般的なL判は『anan』が日本初で、L判の輪転機もそのためにつくられたと聞いています。日本で女性誌サイズを発明して定着させたのです」。

月刊誌から始まり、1980年代には週刊誌へと変革を遂げた。北脇氏は週刊である強みを語る。「毎週毎週、その時の旬のテーマ、旬のスターをいち早く取り上げて、潜在化しているムーブメントやトレンドをビジュアルとコピーで視覚化し、顕在化させてきました。それが唯一無二の価値であると思います」。

もうひとつの大きな特徴は、毎回変わる“特集”主義。「変わりゆく時代の中で、50年間ずっと女性にフィットする特集主義を続けているのは国内外においても『anan』くらいではないかと感じます。様々な特集を組む中で、良いも悪いも様々なご意見をいただきます。そのなんだかわからない気づきとざわめきこそが『anan』の面白みではないでしょうか」。

週刊誌では異例の重版になるほど、社会的な話題になることも多い。「最近は特に、旬の方が旬のテーマで登場いただいた時の勢いが凄まじく、ムーブメントの気づきを起こしている瞬間があるように感じます。それは編集部が必死でトレンドを追いかけていく中で、潜在化している人々の思いを、ビジュアルと特集テーマで顕在化できている瞬間があるからなのかな、と。これからもその時の女性に寄り添った特集を毎週発行していきたいと考えています」。

視点01 ブランド戦略
時代とともに走り続けてきたからこそ、得られたブランドの度量の大きさ

ファッションやトレンドをテーマに、時代に合わせて毎号特集を組んできた『anan』。2016年、2000号を迎えた時にキャッチフレーズを『すべての女性の、今好きなこと。』と明文化した。モノや事象だけでなく、気分やマインドも特集してきたことが特徴だ。

創刊当時から実務的な内容だけではなく、「女性と一緒に走ってきた」ブランドだという。「女性の気持ちに寄り添って、週刊誌として毎週走り続けてきたことによって、『anan』自体が時代の“気分”に同化している瞬間があると感じています。美容もファッションも芸能も健康も占いも旅も自己啓発も。『anan』というブランドは...

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