2020年4月7日に7都府県、16日には全国を対象に発令された「緊急事態宣言」。5月25日に宣言は解除されましたが、いまも各地で警戒が呼びかけられている状況です。メディアからの情報発信を、生活者はどのようにとらえ、行動しているのでしょうか。情勢が刻々と変化しているなかでの動向を、各種データから探ります。
メディア接触の増加は一時的?情報への向き合い方に注目
新型コロナウイルスの影響が出はじめた2月から4月にかけて、外出自粛や休校、在宅勤務の増加に伴い、テレビ、ラジオ、インターネットといった、特に家庭内でメディアに接する時間が増えていることが、各種の調査で報告されている。
一方で、緊急事態宣言が解除された後に行われた調査では、1日あたりのメディア接触時間について、平常時(2020年1月末)を100%とした場合、5月末は99.2%と同程度の水準であり、変化は一時的なものであったと分析された(博報堂DYメディアパートナーズ「緊急事態宣言解除後のメディア接触調査」)。
同調査では、注視すべきは「時間」よりも、メディアに対する「態度」や「向き合い方」であると指摘されている。例えば新聞社のアプリやWebサイトでニュースを“毎日”見るなど、「新型コロナウイルスに関する情報を積極的に集める」という人は6割を超えた(同調査)。
刻々と状況が変わり、日常的に接する情報量も多くなるなかで、生活者はどのような態度でメディアを受け止めているのだろうか。
LINEリサーチでは、全国の10代から50代の男女を対象に、新型コロナウイルスに関連したニュースや報道に関する考え方の調査を行った。「新型コロナウイルスの情報に関して感じていること」という質問には、約6割が「どれが信頼できる情報か見分けるのが難しい」と回答。4割弱が「楽観的な情報は危険だと思う」「誤った情報やデマがひろがっている」「日々多くの情報が流れてくることに混乱する」と回答した【図表1】。
「悲観的な情報ばかりが目に付く」(34%)、「真実が報道されていないように思う」(33%)と、メディアに対する不安感や不信感を持つといった状況も見受けられた。
8割が「誰かに伝えた」得た情報はどのように広がる?
メディアなどを通して得た情報を、「誰かに伝えたか」という質問に対しては、約83%の人が「伝えた」と回答【図表2】。
伝える相手は「家族」(73%)、「実際の知り合い」(50%)が多くを占めた。「インターネット上だけの知り合い」や、「不特定多数」の人に伝えたという人はそれぞれ8%、7%と、低い割合を示した。なお同調査では、家族や知り合いに対しては「口頭で伝えた」という割合が高く、SNSなどで広めたという人は少ないという結果も出ている。
これらの調査結果からは、不確かな状況下において、生活者の情報に対する態度は比較的用心深く、慎重な行動をとっていることがうかがえる。
緊急事態宣言下におけるテレビ番組の編成に生じた変化
4月第1週から5月第1週にかけての番組編成をビデオリサーチのデータでみると...