- 「プラットフォームの相性×自社資産」を念頭に、SNSの活用法を検討する。
- 発信するコンテンツを考える上では、自社ブランドの理解が必須。
- お客さまとの心地良い「距離感」をつかむため、常にSNSに「触れ続け考え続ける」ことが重要。
SNS運用の極意
SNSという“場”に企業はいかに向き合うか
企業が運用するSNSは、どのように立ち振る舞うべきか?これは、企業はお客さまにどのような価値を伝え、お客さまとどう向き合っていくべきか?という問いに通じるものがあるように感じます。取り扱う商材や性質が異なれば、アプローチは変わりますし、さらには変化の激しいSNSの世界においては今日、最適解だと思ったものが明日には崩れることすらありえます。企業の数だけ正解があり、その正解は日々刻々と変化していく、それがSNS運用の世界だと思っています。
このようなことから今回、何をお伝えすれば良いのか、と悩みました。それでも、正解は企業の数だけあるという前提のもと、私たちがお伝えできることがあるとすれば、SNSという「場」に対してどのように企業は向き合うべきか?その心持ちのようなものだと思い至りました。そして、それはともすれば、企業にとってお客さまと緩やかに「つづく関係づくり」の考え方のヒントになれるかもしれないとも考えています。
前置きが長くなりましたが、私たちが考える企業SNSのコミュニケーションについてお伝えします。
アカウント開設前にチェック!押さえておきたい4ポイント
まず、SNSアカウントを立ち上げる前に押さえておくべき点が4つありますので説明します。
①SNSは個人が楽しむための場
SNSは個人が「楽しむ場」であるという前提に立った上で、企業がアカウントを立ち上げる意味を考えてみましょう。フォローしてもらう理由(楽しみ)は何か、お客さまにどんな気持ちになってほしいのか、どんな言葉でシェアしてほしいのか、このあたりについて整理しておく必要があります。
SNSアカウントは、発信だけ切り取れば「オウンドメディア」ですが、ひとたびSNS上に公開されればアンコントローラブルな「アーンドメディア」の側面も持ちます。その両側面から、個人が集まるSNSという場にどうやったら「馴染むことができるのか」を考えます。
②SNSのプラットフォームごとの特性を知る
プラットフォームによって楽しみ方は異なります。Twitterは「Look at this」、Instagramは「Look at me」と言われていますし、ここ数年で一気にユーザー数を増やしているnoteは「Look at story」だと思っています。「流行っているから」「多くリーチできそうだから」といった理由でプラットフォームを選択するのではなく、自社の商材はどのプラットフォームに合うのかを知ることが必要です。何より、担当者がそのSNSがどういう「場」なのかを肌感覚として持ち、その感覚を言語化できていることが重要です。
③SNSは企業の「声」として発言する場である
企業名のアカウントを立ち上げる以上、お客さまにとっては「企業の窓口」として映ります。そして社内から見れば「企業の声が集まる場所」として認識されます。そういった意味ではSNS担当者は社内の声を収集する役割も担うわけです。それは社内にある、光る資産を見つける大事な役割でもあります。SNS担当者の仕事の大半はインナーコミュニケーションと言っても過言ではありません。また、一度SNSを開設すれば「続ける」ことが前提になるため、情報が集まるチーム設計をすることも必要です。
何のためにSNSアカウントが存在し、どんな価値を提供するのか。これはお客さまとの約束事でもあります。はじめに立てた「旗」はしっかりと組織内で共通認識になるよう言語化しておくことをすすめます。
④SNSは広告ではない
前述の②、③から「プラットフォームの相性×自社資産」が見えてきたなら、次は提供できる価値を考えましょう。その際に考えるヒントのひとつになるのが「広告では伝えきれない価値」。広告はより多くの人にダイレクトに簡潔に魅力を伝えられる価値があります。反面、SNSは企業をわざわざフォローして追いかけてくれる方を対象にしたコミュニケーションです。その対比を意識して①も加味しながら提供できる価値を定めていきます。
何のためにSNSアカウントが存在し、どんな価値を提供するのか。これはお客さまとの約束事でもあります。はじめに立てた「旗」はしっかりと組織内で共通認識になるよう言語化しておくことをすすめます。
SNSの効果は「場合による」数字だけを追う危険性
キリンビールでは2019年4月に「これからの乾杯を考える」場としてキリンビール公式noteを立ち上げました。他のSNSとnoteの違いは、想いを伝える長文コンテンツが中心であること。また、図1のように、noteは一般的な広告アプローチとは異なり、コアなファンユーザーから「同心円状」に推奨して拡げてもらうコンテンツが理想となるため、PVよりもどれだけ「発話されたか」を効果指標の中心に据えています。
このように...