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コロナと製造業

商品価値の再発明「モノがあるからこそ取り組めるサービス開発」

玉井博久氏

新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響を受け、オフラインからオンラインへと、私たちの生活スタイルは大きく変容している。新しく登場した生活スタイル、価値観を捉えることができれば、企業もまたオンラインへのシフト、すなわちデジタルトランスフォーメーションが実現しうるのではないか。製造業企業に所属し、マーケティング実務を担う玉井博久氏が全6回の連載で、その可能性について解説していく。

P&Gの「CES」出展に見る製造業のサービス化

前回の本連載では急速に加速するオンラインシフトの中で、モノがあるからこそできる広告の形として、製造業は何らかのモノをつくるエキスパート、プロフェッショナルとして人々に専門的知識を提供できる可能性について言及した。その実践のためには、製造業は自社の活動の価値を見つめなおすこと。そしてモノを販売しているのではなく、モノを介して顧客にどう役立っているのか、商品価値を再定義することがヒントになると解説した。

今回は同じくコロナ禍により、有意義な、意味のあるつながりを人々が求める中、専門の情報だけでなく、既存商品の価値を再発明することで顧客にとって付加価値のある体験を提供することができるようになる、モノがあるからこそ取り組めるサービス開発について考えてみたい。

毎年1月にアメリカのラスベガスでは家電見本市である「CES」が開催されている。「CES」は「Consumer Electronics Show」の略であり、当初は家電メーカーが参加する家電の見本市だったが、近年は自動車メーカーやFMCGメーカーなど様々な業種が参加をしている。もはや家電というよりもテクノロジー見本市のような存在になっている。

昨年から「CES」に参加するFMCGメーカーの1社であるP&Gは、「CES」を「Consumer Experience Show」と呼び名を変えて、自分たちがこの見本市に参加する理由付けを明確にしている。そしてテクノロジーを活用することで、洗剤やオムツのような日用品であっても、顧客にとってこれまでにない体験を提供しようと取り組み始めているのだ。

今年の「CES」には日本から寝具メーカーの西川も参加していたが、同社では寝具にテクノロジーをプラスすることで、顧客の体験をより豊かなものにしようと取り組んでいる。既存商品にテクノロジーを足すことで、これまでにない価値のある体験を顧客に提供しようとしているのだ。

販売して終わりではない 購入後も続いていくつながり

ここで言うテクノロジーとは、多くがIoT(Internet of Things)の範疇であり、商品がインターネットにつながることを指している。インターネットにつながることで、商品の販売後、商品を使用する顧客のデータを取得し、それをインターネットを介して企業側が受け取って分析し、分析の結果に基づいて顧客に最適なアクションを行う、ということに取り組んでいるのだ。

こうした企業は...

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