リモートワークの拡大でチームマネジメントに課題
新型コロナウイルス感染症が発生して以降、都市部の企業でリモートワークが急激に広がっている。かねてからリモートワークの必要性は指摘されてきたが、日本ではなかなか進んでいなかった。それがコロナの影響で一気に状況が変わった。
しかし対面のコミュニケーションを重視してきた日本企業では、個々の社員が異なる場で自律的に働くスタイルに慣れているとは言えず、チームのパフォーマンスが低下する、あるいは従業員がメンタルヘルス上の問題を抱えるといった事象も出てきている。
常に組織やチームの状況を可視化して把握し、大きな問題が発生する前に対処する。そんな対応を可能にしてくれるのがLaboratik(ラボラティック)が提供する「We.」だ。
「We.」は自然言語処理技術を用いてSlackやMicrosoft Teams(今秋からの対応予定)上の社内コミュニケーションデータを解析。発信量やその内容から、チームメンバー同士の関係性や組織の特性を可視化するツールである。日々ダッシュボードで、チームのコミュニケーション状況を様々な角度から確認できるほか、コミュニケーション状況のデータを集計し、週に1度のレポートも提供される。
ラボラティック 代表取締役の三浦豊史氏は「チームの中で、誰と誰とのつながりが強いのかなど、リモートワークになると、これまで以上に組織内のコミュニケーションが見えなくなってしまう。それがマネージメントを難しくすることにつながるが、『We.』で解析することで、組織内の人の関係性を可視化し、エンゲージメントの改善をサポートすることができる」と話す。
ピープルアナリティクスに着眼 学術研究をベースにした開発
ラボラティックの創業は2015年。それ以前には、三浦氏はニューヨーク市立大学芸術学部卒業後、R/GA New Yorkでデザイナーとして働いていた。帰国後は、Googleにてインダストリーマネージャーとして広告営業やコンサルティングに携わってきた。その当時から「人生の多くを費やす仕事の時間をどうしたら効率化できるか」を考え続けていたのだという。
そんな三浦氏がGoogle時代に効果を経験したのが、ピープルアナリティクスだ。「ピープルアナリティクスとは組織や人事の課題をデータで分析して可視化するソリューション。アメリカでは10年ほど前から多数の企業が実践し始め、私が在籍していたGoogleでも人事評価にピープルアナリティクスが導入されていた。人の好き嫌いに左右されかねない人事評価を、徹底してデータ基点にすることで公平で従業員にとっても納得できるものになっていたと感じた」(三浦氏)。
独立して新しいチャレンジをしたいと考えていた...