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REPORT

パナソニックのUSミレニアル向けキャンペーン アスリートと考える社会貢献

小杉 卓正氏(パナソニックノースアメリカ)

新型コロナウイルスは世界的に共通する問題で、各国に影響をもたらしている。この環境で海外進出をしている日本企業は、どのような取り組みをしているのだろうか。米国でのパナソニックの取り組みから、その実践について考える。

BtoBへのビジネス変革と次世代からのブランド認知低下

パナソニックは米国で、事業成長を伴いながらBtoBビジネス成長に注力し、現在、売上の95%以上をBtoB領域が占めるに至っています。事業変革は成功しましたが、その一方で、最終消費者とのタッチポイントが減少。ベビーブーマーとミレニアルとの世代間でブランド認知度に30ポイント以上の差が生じています。2025年には米国労働人口の75%がミレニアル世代になると言われる中、将来のお客さま、社員、ビジネスパートナーへのブランド認知・理解向上は喫緊の経営課題となっていました。

そこで課題解決のために米国ミレニアル世代への独自調査を実施したところ、彼らは「社会貢献」に強い関心を持っていることが分かりました。多様性に富むといわれるミレニアル世代ですが、当社がオリンピックのワールドワイドパートナーであるためオリンピックに関する質問も設けたところ、90%近くが東京オリンピックに関心を持っており、中でも体操と競泳を観てみたい競技の上位に挙げたのです。

パナソニックの創業者・松下幸之助の経営の姿勢に「経営理念を売ってほしい」という考え方があります。強い販売網をつくるため、商品力以上に、まずはお得意さまに経営の考え方や精神を理解してもらうことが必要。そして、それを実現するためには、社員一人ひとりが日々経営理念に基づく活動を行うことが求められます。つまりは、「社員一人ひとりの取り組みを通して社会に貢献していきたい」という意思を伝えることが必要なのだと思います。

前述のように、ミレニアル世代の関心事である社会貢献についての独自調査や社内での検討の結果も踏まえ、パナソニックでスタートしたのが米国ミレニアル世代向けブランドキャンペーン“What Moves Us”です。1月に開催された世界最大の技術見本市CESで、その開始を発表しました。

情報が溢れるデジタル社会では、強い発信力や受け手に興味・関心がない声は埋もれてしまいます。確実にメッセージを届けるため、ミレニアル世代が強い関心を持つオリンピック選手、競泳界のレジェンドであるマイケル・フェルプス氏をブランドアンバサダーとして起用。社員とアスリートで構成されるTeam Panasonicのキャプテンとして活動を牽引していただいています。また...

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