人やモノとの境界線を曖昧に 自然に溶け込む建築から生まれるコミュニケーションの在り方ー藤本壮介の広告観ー
「UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店」や「武蔵野美術大学美術館・図書館」などで知られる、建築家の藤本壮介さん。2025年開催予定の「大阪・関西万博」会場デザインプロデューサーも務める藤本さんが考える“人が集う場”で生まれるコミュニケーションに寄与する建築とは?建築に対する思想や哲学について聞いた。
私の広告観
「マンガ大賞2020」で大賞を受賞し、いま注目を集めている漫画『ブルーピリオド』。美術×スポ根とも称される新境地の世界観を描く、山口つばさ氏の考えを聞く。
毎年、漫画好きの選考員により"誰かに薦めたい"と思う漫画が選出される「マンガ大賞」。今年3月に同賞で大賞を受賞したのが、月刊『アフタヌーン』に連載中の漫画『ブルーピリオド』だ。2017年に連載が開始となり、現在までに単行本を7巻まで刊行している。しばしば"スポ根"漫画と称されるほど熱い同作品だが、登場人物たちが青春を燃やして打ち込むのはスポーツではなく、美術だ。
主人公は、それまで美術とは無縁だった高校2年生、矢口八虎。不良だが頭脳明晰で成績は優秀。友人も多く、一見充実した青春を送っているが矢口八虎には熱くなれるものがなかった。何事にも心から感動できず、空虚な日々を過ごしていたある日、美術の面白さに目覚める。そして国内唯一の国立総合芸術大学であり、東京大学よりも難関とも言われる、東京藝術大学(藝大)の現役合格を目指すところから物語が始まる──。
作者の山口つばさ氏は東京藝術大学の卒業生でもある。最近では漫画制作だけでなく、トークショーへの出演やワークショップの講師を勤めるなど精力的に活動をしている。
プロとして活躍する以前から、漫画が好きだったという山口氏。思い返すと、その原点は幼少期に母と熱中していたアニメの存在だった。
「初めて買った漫画は、当時、母とハマっていたアニメ『ケロケロちゃいむ』の原作でした。初めてもらった図書券の使い道に迷っていた私に、母がこの漫画を買ってはどうかと提案してくれたことがきっかけでした。いろいろな漫画を読み始めるようになったのは、その時からですね」。
絵画教室にも通うほど、絵を描くことが好きだった山口氏。高校も美術系の学校へと進学し、当時からイラストや漫画もよく描いていたというが、やがて藝大に入学すると本格的に漫画を描き始めるように。漫画家を目指し始めたのも藝大在学時のことだった...