情報、メディア、コミュニケーション、ジャーナリズムについて学びたい人たちのために、おもに学部レベルの教育を2年間にわたって行う教育組織である、東京大学大学院情報学環教育部。月刊「宣伝会議」編集長が同部で講義を担当することから、受講する学生の皆さんと編集コンテンツの企画から制作までを実地でチャレンジ。2回目となる今回は、電通のキリーロバ・ナージャさんに取材しました。
Challenge 2 電通のキリーロバ・ナージャさんに聞きに行く
「学生時代に学んだ教養って、社会に出てからも役立ちますか?」
社会に出てから活躍するために、大学時代までにどのようなことを学んでおけばよいのか。そして、はたして大学までの学びは、社会に出てからの実践に役立つのか。そんな疑問を抱いた学生たちがロシア、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、日本の6カ国で学んだ経験を持つ、電通のキリーロバ・ナージャさんに話を聞きに行きました(本取材は2020年2月に実施しました)。

取材に挑戦する学生たち。
5カ国語を話せるのに日本の会社に入社したのはなぜ?
学生:ナージャさんは、なぜ日本の広告会社に入社したのですか。5カ国語も話せるのなら、外資系企業という選択肢もあったと思いますが。
ナージャ:電通を選んだ理由は3つあります。ひとつは、私が生まれた国であるソ連(当時)は社会主義国家だったので、広告というものがありませんでした。ですから子供の頃、他の国に住むようになって、初めてテレビCMを見て、とても驚きました。それぞれの国の言葉は分からなくても、CMが意味していることは何となく理解できて、親しみを持てた。そんな思い出があって、広告というものに興味がありました。
2つ目の理由はもともと企画をすることが好きで、企画することを仕事にしたいと考えていたことがあります。企画の仕事にはいろいろありますが、その中でも広告が一番、表現の幅があるのではないかと考えていました。大学時代に佐藤雅彦さんの授業を受けたことも影響していると思います。
3つ目の理由は、飽きっぽい性格の私に合っているということです。子供の頃に、ほぼ毎年のように転校していたこともあってか、飽きっぽいというか、同じことをずっとはできないと思っていました。その点、広告はさまざまな商品・サービスを扱う仕事なので、自分に向いているんじゃないかと。
学生:日本の会社を選んだ理由は何ですか...