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コロナと製造業

コロナ禍から製造業が得るべき、3つのヒント

玉井博久氏

新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響を受け、オフラインからオンラインへと、私たちの生活スタイルは大きく変容している。新しく登場した生活スタイル、価値観を捉えることができれば、企業もまたオンラインへのシフト、すなわちデジタルトランスフォーメーションが実現しうるのではないか。製造業企業に所属し、マーケティング実務を担う玉井博久氏が全6回の連載で、その可能性について解説していく。

新型コロナウイルス感染症の影響により、世界中のほぼ全ての人が外出自粛を余儀なくされている。オフライン、つまりは現実世界でのつながりが強制的にシャットアウトされたわけだが、そんなコロナ禍において、私たちの経済的・社会的活動をなんとか支えてくれているのが、デジタルテクノロジーである。

いつ新型コロナウイルスが終息するかは全く予想できないが、仮に終息したとしても、今回のオンラインシフトの体験は、人々の意識や感覚から消えることはないというのが大方の予想だ。新型コロナウイルスの影響により、変容した人々の行動様式を捉えることで、一部のIT企業以外にも新しい可能性が拓けないか。実務において、製造業の企業に属している私は、その可能性を模索してきた。

この全6回の連載では、新型コロナウイルスによって生じている強制的なオンラインシフトを、製造業にとってどうすれば事業価値を高めて顧客に貢献していく機会にできるかを考えていきたい。

ソーシャルディスタンスを取ってでも人や社会とつながっていたい私たち

新型コロナウイルスによって登場した、ある種の"流行語"が「ソーシャルディスタンス」だ。人との間に物理的な距離を取りなさいというのが、新型コロナウイルスが私たちに与えた制約。この制約により、私たちはただ家に籠ってじっとしているのかというと、そういうわけではなく、物理的な距離を保ちながらも、それでもなお、人と社会とつながろうとしているところが興味深い。

面白いことに厚生労働省が提示する「人との接触を8割減らす、10のポイント」においても、物理的な距離を取りながらも、人と人とがどうすればつながることができるのかが紹介されている。オンライン帰省であり、オンライン飲み会がそれである。併せて通販&宅配、遠隔診療、動画によるエクササイズも紹介されている。こうした、ソーシャルディスタンスを取ってまでしても、オンラインを通じて人や社会とのつながりを持とうとする人の行動に目を向けると、3つの興味深い兆しが見えてくる。

人々が求めているのはミーニングフルなつながり方

「明日から会社に来ないでリモートワークをしてください」「学校の授業は全てオンラインで行います」…。こうしたアナウンスが突然起こり、社会人も学生も家で仕事や勉強をすることになったわけだが私は当初、"意識高い系"を除く多くの人が、リモートによって空いた時間(例えば通勤時間)を"怠惰に"過ごすものだと思っていた。

しかし...

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