単身者増加による「個食」ニーズの高まりを受け、昨年から冷凍食品の新ブランド「WILDish」を展開しているマルハニチロ。今春からはテレビCMも放映し、順調に販売を拡大している同ブランドの開発の狙いについて同社の三浦武氏に聞いた。
「個」を起点に開発された新ブランド「WILDish」
総合食品会社として、水産・冷凍食品・缶詰等幅広い商品を取り扱うマルハニチロ。同社が2019年8月から展開している「WILDish(ワイルディッシュ)」は、単身世帯の増加によって拡大する「個食」市場のニーズを捉えた冷凍食品の新ブランドだ。
「ワイルドにカキコメ!」をコンセプトに開発された「WILDish」最大の特長は袋にある。袋ごとレンジ調理が可能、さらにマチ付きのため自立し、袋をお皿がわりにして食べることができる仕様になっている。炒飯やピラフなどのご飯類だけでなく、今年3月には焼きそばや汁なし担々麺などの麺類もラインナップに加わり、8種類の商品を展開している(2020年3月末時点)。
開発の背景にあるのは、人口減少、核家族化と単身世帯の増加、食の多様化、志向の分散といった市場環境の変化。マルハニチロの三浦武氏はこう語る。
「従来、当社では家族をターゲットに商品開発を行ってきました。しかし、環境変化によってターゲットの多様化・分散化が進んだ現在。ターゲットごとにニーズを汲んだ商品開発を行う必要があります」。
多様化するターゲットそれぞれへの開発対応を推し進めるべく、マルハニチロが取り組んでいる試みのひとつが「新個食宣言」というものだ。
世帯人数が減少していく中で、食に限らず「個」に対応する様々なモノやサービスが市場に投入され始めている。冷凍食品市場に目を向けると...