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2030年 人口動態の変化を見据えた新市場開拓の戦略

米中にDXで後れをとった日本 マーケティングの未来を拓くには?

高岡浩三氏(ケイ アンド カンパニー)

今年3月末でネスレ日本 CEOを勇退、独立した高岡浩三氏。4月にはサイバーエージェントの顧問、セプテーニのアドバイザリー就任が発表された。日本を代表するマーケターとしても知られる高岡氏は、2030年をどのように見据えているのか。

コロナ禍で加速するDX 広告の力は落ちてきている

平成の30年間を振り返ると、それは米国と中国に日本がDXで大きく後れを取った時代でした。少なくともマーケティングの文脈から言えば、明るい時代ではなかったでしょう。特にEC領域で、その後れは顕著に表れています。Amazonは書籍、Appleは楽曲のECで先駆けとなり、中国でも阿里巴巴(アリババ)が目覚ましい成長を続けています。

要因は、いくつか考えられます。国土が広い米国と中国は国民1人あたりの小売店数が少なく、ECに対するニーズが日本よりも高いこと。書籍や楽曲は、リアル店舗での品揃えに限界がある商材だったことなどです。マーケティングとは顧客の問題解決。ECはまさにDXによる顧客の問題解決の好例であり、その意味で日本は出遅れたと言えるのです。

こうしたプラットフォームが日本にも浸透したことで、昨今は小売店など既存のチャネルだけではメーカーのマーケティング活動が立ち行かなくなっていくという危機感が広がりました。私がCEOを務めてきたネスレ日本も例外ではなく、企業にコーヒーマシンを無料で貸与するアンバサダープログラムを中心に直販を強化し、売上に占めるECの割合を10年で20%まで高めてきました。

そして今、ECやDX推進の動きは世界的に加速しています。コロナウイルス禍も大きな契機となりました。外出自粛の中で、高齢者にまで(子どもに使い方を教わるなどして)ECの利用が広がっています。

ただし、当然ながらDXは目的ではなくあくまで手段。DXで何を実現するかを見極め、実行していく必要があります。

手段の目的化は広告にも言えるでしょう。広告もマスメディア中心から、デジタル中心の考え方へとシフトしてきました。しかし、そのシフトの先に明確な目的が描けていたでしょうか...

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