即席みそ汁の市場を開拓 定番の味を守り続けた永谷園「あさげ」の50年
高度経済成長期を経た1970年代、女性の社会進出に伴い、主婦の家事負担が増えつつある中で既に登場していた即席みそ汁。手ごろで便利なものとして一部利用されていたが、手づくりのみそ汁とは程遠いもの。そこで永谷園は“家庭のみそ汁と遜色ない上質な味わい”の実現をとことん追求した。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
エポック社は1958年に「野球盤」とともに創業、男児玩具を製造販売していた。そこで1985年、初めての本格的な女児玩具として「シルバニアファミリー」を開発・発売。背景には、当時ヨーロッパで文化として根付いていたドールハウス遊びを日本の子どもたちが気軽に楽しめるものにできないかという発想があったという。
ハウスや人形は日本家屋に合わせてサイズ感を調整。森に住んでいるという設定で、人形は「人間」ではなく親しみやすい「動物」にし、家屋は当時の流行からアーリーアメリカン調を取り入れた。
発売後すぐに大人気となり、"飛ぶように売れた"という。しかし1年を待たずして競合他社の複数社が類似品を発売。市場に動物のドールシリーズが氾濫し、売上が落ち込んだという。マーケティング本部の前氏は、「ブームが一段落すると、他社は撤退していきましたが、当社が最初に発売し、また思い入れの強い商品だったことから、信念を持って諦めず新商品を出し続けました」。
そうして販売を続けて1995年には、第2次ブームの火付け役となる「赤い屋根の大きなお家」を発売し、累計100万個のベストセラーとなった。その後もハウスは時代や技術に合わせてリニューアルを重ねた。人形も最初は地の色1色のみで素朴な顔立ちだったが、技術の発展により顔に色を付けられるようになり、多彩な動物の表現が可能になった。
発売翌年の1986年からはイギリスでも発売、現地ではイギリスの製品だと思っている人が多いほど浸透している商品だという。現在は世界約70の国と地域で展開。「動物であったため人種や文化を問わずグローバル展開がしやすかったので、当時の開発者に感謝しています」。
今年で35周年を迎える「シルバニアファミリー」。人形や家具のサイズが変わらないことから、今や3世代でも楽しまれているという。
発売当初は「アーリーアメリカン」をイメージしてデザインしたという赤い屋根のハウス。ハウスは1種類で、家具は緑色、人形は素朴な顔で、現在もお馴染みのウサギファミリーや、「森」という設定を意識してクマファミリーやモグラファミリーなどが発売された。
1995年には、第2次ブームとなる「赤い屋根の大きなお家」を発売。それまでのハウスは1方向からしか遊べない仕様だったのが、前後左右の4方向から遊べるようになったことが大きな特長だ …