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グローバル企業のマーケティング最前線

技術に頼らずヒット商品を生み出す!? 「コマーシャルイノベーション」とは?

藤井崇雅氏(フィリップス)

消費者が国境を越えて世界中の商品・サービスを購入できる時代、グローバル企業ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。オランダ・アムステルダムから連載でお届けします。

低予算で素早く市場にイノベーションをもたらす

刻一刻とトレンドが変化し、先を読むことが難しい時代。マーケターなら誰もが、競合に先駆けてイノベーションを起こし、市場にインパクトを起こしたいと考えているでしょう。特に製品開発に時間のかかる耐久消費財メーカーにおいては、長期的なマクロトレンドから成長機会を見出し、数年先までのイノベーションロードマップをつくって、トレンドの変化に対応しようとするのが一般的です。

しかし技術革新に基づくイノベーションには、膨大なコストと時間がかかり、短期的なトレンドの変化への対応については小回りが利きづらいという短所もあります。

家電業界においても、より効率的なイノベーションをもたらすべく、リーンスタートアップの「ミニマム・バイアブル・プロダクト」や「アジャイル開発」から学ぼうという動きが活発になりました。低予算かつ素早く市場にイノベーションをもたらすためには、そのような開発プロセスの活用に加えて、「コマーシャルイノベーション」という考え方もひとつの解決策になるかもしれません。

「コマーシャルイノベーション」とは、技術革新に頼らないイノベーションを指します。既存の製品を活用しながら、ポジショニングやビジネスモデル、製品デザイン、パッケージを変えることで、顧客価値を高める戦略です。すでにある基礎技術を使いながらも、新製品と同じような全く新しいコンセプトを打ち出すことができるため、費用対効果の面でも優れています。

フィリップスのグローバル本社の商品企画に来てまず驚いたのは、この「コマーシャルイノベーション」に特化したチームがあることでした。技術部門だけでなく、マーケティングがプロジェクトの根幹をリードすることが多いフィリップスらしいポジションだと感じたものです。そして2017年に私がアムステルダムに異動して最初に任されたのが、この「コマーシャルイノベーション」をリードすることでした。

その頃、フィリップスのシェーバー部門では、まさにこのような低予算かつ素早く導入可能なイノベーションが求められていたのです。2015年以降、インパクトある新製品を発売できていなかったこともあり、毎年実施しているブランド選好度調査では、数値が下落傾向にあり、市場シェアも競合ブランドに奪われていく状況でした。次の技術革新を待たずして、短期的にどのように市場にインパクトを起こせるか、が大きな課題だったのです。

自社の課題を解決するカテゴリを見極めよう

「コマーシャルイノベーション」は4つの定義に分類することができます。X軸にブランド・感情指向か機能性指向かをおき、Y軸に価格感応性(購入への価格の影響度の高さ)をおいて表をつくります【図表1】。A(左上)が、価格感応性が低く追加の機能性で魅力度を高めたもの、B(右上)が、価格感応性が低く、よりエモーショナルな要素で魅力度を高めたもの、C(左下)がプロモーション色の強いもの、D(右下)が買いやすい価格帯のギフト色の強いものとなります …

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