オーダースーツを中心としたD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYO。大手企業がこぞって参入するも撤退するケースが少なくないアパレルのD2C領域で、成長を続ける同社の代表取締役社長 森雄一郎氏に顧客体験への考えを聞いた。


会員制ファンプログラム「Meets by FABRIC TOKYO」のイベントの様子。パーソナルカラーを学ぶワークショップなど、様々なコンテンツを提供している。
目指したのはオーダースーツの民主化
誕生以来、新しい事業モデルや体験を生み出し続けてきたインターネット。近年、注目の集まるD2Cも、そうしたビジネスモデルのひとつと言える。そして、国内のD2Cブランドの中でも先駆者として地位を築いているのがFABRIC TOKYOだ。メルカリ出身で同社 代表取締役社長の森雄一郎氏は、インターネットの根源にある価値は「直接つながること」だと語る。メーカーと顧客という企業対個人のつながりはもちろん、近年のCtoCやサロンといったつながり方もその一例だ。
その中で、顧客から企業へ情報が「逆流」するようになったとも森氏は指摘する。そして、同社を起業した2014年ころは、まさに、その過渡期だった振り返る。
「従来、アパレルは展示会で新作を披露して卸先と交渉する『展示会モデル』が主流でした。そこにSPAが現れ、2010年代に入ると私たちのようなD2Cブランドが参入。SPAとD2Cはよく比較されますが、最大の違いは情報が逆流しているかどうかだと思っています …
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