大企業においては、分業体制の組織構造になっていることが珍しくない。そうした中でCXデザイン部を置き、部門横断で一貫した「au」ブランドの顧客体験の提供を目指しているのがKDDIだ。その取り組みについて、同社の村田浩子氏に話を聞いた。
コモディティ化する通信事業 CXが競争力の源泉になる
KDDIは成長戦略の根幹にCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験価値)を位置づけ、2015年にCXデザイン部の前身となるCX推進部を設立した。当時の通信キャリア市場はすでに飽和状態にあり、コモディティ化を迎えていた時代。選ばれるためには、「au」ブランドとしての立ち位置を明確にしていくことが不可欠だった。こうした課題を乗り越えるべく、田中孝司前社長の頃から重要視していたのが同社のCX戦略だ。
「市場の飽和とMVNOが伸長した中で、auならではの顧客体験が求められるようになりました」。こう語るのは同社 CXデザイン部長の村田浩子氏。同社が取り組んだのは、上層部主体のトップダウンと販売店主体のボトムアップ、両面からのCX推進だった。
トップダウンの推進施策のひとつが「CX推進会議」だ。これは各部門の幹部が一堂に会し、横串でCXの課題を議論したり、方針策定をするというもの …
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