- コンセプトはビジョンを実現させるための指針となるワード。
- 伝わるコンセプトは平易で普通のコトバで、人々に明確な理解や行動を促すもの。
- コンセプトが定まっていれば、それぞれの専門性やクリエイティビティが生かしやすくなる。
コンセプトづくりのポイント
コンセプトは概念ではない ビジョンを実現するための羅針盤
「コンセプト」とは何か?この問いに明快に答えられる人は、ブランディング業務に携わっている人でさえも少ないのではないでしょうか。「コンセプト」は日常で触れる機会が多いにも関わらず、分かりやすい共通定義がなく、実に曖昧で、なんとなく扱われていることが多いのです。
しかし、曖昧ではない「ちゃんと機能するコンセプト」があれば、プロジェクトや広告コミュニケーションが劇的に円滑になることも事実です。そのようなプロセスを何度も私自身が体験してきました。その経験値から、自分なりの考えをシェアしたいと思います。
では、「ちゃんと機能するコンセプト」、つまり、良いコンセプトとは何でしょうか?そこに行き着くためにはまず、コンセプトの役割をクリアに知ることが必要です(図1)。
「コンセプト」とは、直訳の通りの「概念」やイメージワードではなく、そのブランドや事業が目指す理想=ビジョンを実現するための、指針となるワードのこと。行きたい場所へ導く羅針盤のようなものです。そのブランドや事業が、なぜ世の中に新しい価値を提案したいのかという動機(WHY)・目指したい理想がビジョン。それをどう実現するか(HOW)をワード化したものがコンセプト。それによって、世の中に施策(WHAT)が生み出されます。
しばしば、「ビジョン」と「コンセプト」は混同されますし、そこを分けなくてもいいと考える人もいるかもしれません。しかし、「これからの社会、地球、人にとって持続可能な良いこととは何か。本当の豊かさや幸せとは何か」という価値が重要視される時代に、社会に対する強い意志や、示唆に富んだ「ビジョン」がないブランドや事業は、人々から共感を得にくく、淘汰されていくと思います。強いビジョンと、それを実現に導く強いコンセプトという2つのエンジンが、これからますます大切になってくるはずです。
機能するコンセプトと残念なコンセプトの違いは?
しかしながらコンセプトの中には、「それ言われてもどうしたらいいかわからないよー」という残念なものも多く存在します。この「どうしたらいいか意味不明」というのが、コンセプトとして一番ダメ。なぜなら前述したようにコンセプトの役割とは、大きな思想(ビジョン)と達成したい施策(新規事業や商品販促など)に対して、「興味・共感を持ってもらい」「行動する意味がはっきりわかる」コトバだからです …