- コンセプトとは、プロジェクトを推進する上での目指すべき開発の指針でありプロジェクト全体の設計図。
- コンセプトはプロジェクトチームに共有し、合意をとらなければならない。そのために必要なのが簡潔なワードやセンテンス。
- コンセプトをつくる思考に必要なことは自由に様々なものからインプットすること。
コンセプトづくりのポイント
コンセプトの共有・合意には端的に伝えるワードが必要
コンセプトづくりの話をする前に、まずコンセプトとは何かから説明したいと思います。コンセプトとは、プロジェクトを推進する上での目指すべき開発の指針でありプロジェクト全体の設計図のことです。このコンセプトで良いか、プロジェクトに関わる全ての人間に対し合意をとることで、目指すべき目的の場所へ進めることができます。
ここで重要なことは、プロジェクトチーム全体にコンセプトを共有し、合意をとるには、そのコンセプトを端的に分かりやすく伝える「ワンワードもしくは、ワンセンテンスの言葉」が必要であるということ。私は、これをコンセプトワードと呼んでいます。
商品からコミュニケーションまですべての指針になるワード
ここでは私が「AND THE FRIET」というブランドを開発した事例を紹介しながら、コンセプトがどう機能するのかを説明したいと思います。
「AND THE FRIET」では、コンセプトワードを「FRENCH FRY SPECIALITY SHOP」としました。日本語に訳すと、「フレンチフライ専門店」。至極、シンプルなワードではありますが、実はその中に様々な意図が入っているのです。
ひとつめは、日本ではマクドナルドの影響からフライドポテトと呼ばれることが一般的ですが、それをあえて「FRENCH FRY」とすることで少し上質なイメージを想起させること。2つめは、「SPECIALITY」という言葉によって、こだわりや専門性とそれが主役であるという強調を伝えること。さらに3つめ、「SHOP」とつけることでファッション性を感じさせるといった具合に、コンセプトワードの中に様々なブランドのあるべき姿が標榜されています。
このコンセプトワードをクライアントおよび、後に商品開発やデザインなどを担うプロジェクトチームに共有することで、その後の商品や各デザイン、そしてPRやプロモーションといったコミュニケーションデザインなどに対し一気通貫した開発を行うことができるのです。
「FRENCH FRY SPECIALITY SHOP」は、ブランドコンセプトでありながら開発コンセプトでもありました。そのため、開発する商品は、専門店と呼ぶにふさわしい商品へのこだわりと味、バリエーションといった高い専門性をとことん追求すること …