最後の砦といわれたプロモーション その得意技が裏目に
対岸の火事だと思う間もなく、あれよあれよ、と不測の事態が急回転し始めた。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、多数の観客が集まるスポーツ・文化イベントの自粛が要請され、さらには、公立学校の一斉休校に至った。法的根拠はなく、強制力はないが3月中旬を目安に、催しの中止や延期、規模の縮小が求められた。
金融市場も動揺し、歴史的な高値だった米国株市場が急速に下落。ついには史上最大の下げ幅にまで落ち込んだ。世界的にも株安は連鎖。暴落が止まらない。
プロモーション業界にもその波は響いた。各種の販促イベントや、はたまた恒例の春のセール展開までもが延期・中止の相次ぐ事態となった。増税後の消費低迷に加え、暖冬での売り上げ不振、さらには新型コロナウイルスへの不安と中国の景況悪化が重なったことで、プロモーション業務は一挙に冷え込んだ。
実は、これまでに経験した大不況といわれるような時でも、メディアを介さず、人と人との直接でのコミュニケーションを得意とするプロモーションは、言わば最後の砦よろしく、しぶとく地道に実施されてきた。ところが今回は、たちまち、多大な影響を被ることとなった。例えば、百貨店の化粧品売り場では客の肌に触れる美容部員の活動が、食品売り場では試食や試飲が自粛されることとなった。
プロモーションの特徴は、他者の言葉や評価ではなく、商品を自ら実際に試し、納得して購買してもらうところにある …
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