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「新聞」×「AR」で『読む』から『体験する』時代に

日本経済新聞社

2019年に開設された「日経ARアワード」は、実際の企業の課題に対して「新聞×AR」の表現アイデアを企画書の形式で募集。第1回の今回は4課題に対し209点のアイデアが集まった。今後の「新聞×AR」と受賞作品を紹介する。

受賞者と審査員の集合写真。

日本経済新聞社は2018年11月に、ARの技術を応用し、新聞に掲載された写真や画像にスマホをかざしてスキャンすると、3D映像や動画などが紙面の上に流れるアプリ「日経AR」をリリース。「日経ARアワード」はこのアプリを活用して新聞とARを組み合わせた表現アイデアを企画書の形式で募集した。

「日経ARアワード」の表彰式は1月29日に渋谷で開催され、グランプリと審査員特別賞、各協賛企業賞が表彰された。審査員長を務めた多摩美術大学教授、コミュニケーション・ラボ代表の佐藤達郎氏は「"体験"は広告やマーケティングで重要。ARにより、新聞を"読む"から"体験する"時代に変化するのではないか」と述べた。

その後、審査員によるパネルディスカッションを実施。印象的だった企画を各自紹介しながら、今後の「新聞×AR」の可能性が議論された。ENJIN代表の中澤純一氏は「音を使った企画が印象的だった。五感が刺激されるように技術が進歩したらもっと面白くなるのでは」と映像以外の可能性に言及。電通クリエーティブ・ディレクターの佐藤雄介氏は「新聞とARは親和性が高い。印刷されたものを起点に表現が広がるので、次々と新しいアイデアが出てくる可能性を感じる」と述べた。

ARに精通するMogura代表の久保田瞬氏は「今はスマホが中心だが、メガネ型の『ARグラス』が普及すると、今までとまったく違う体験ができるようになる」と将来の動向を解説。佐藤達郎氏は「普段新聞を読んでいない層でも、ARで何か面白いことが体験できるとなれば読み始めるきっかけになるかもしれない」と述べた。

日経ARアワードの今後については「技術は日々進化しているので、固定観念にとらわれず、柔軟で新しい発想のアイデアが出てきてほしい」という期待の声で幕を閉じた。

パネルディスカッションの様子。左から、佐藤達郎氏、久保田瞬氏、佐藤雄介氏、中澤純一氏。

グランプリ

「家族時間が、生まれる家」
(応募課題:旭化成ホームズ)

    受賞者

    電通アドギア 大塚佑治氏

企画の内容:日本には家の中でいろいろな「家族時間」を楽しめる季節行事がある。例えば桃の節句。ひな人形が掲載された新聞を階段に置き、日経ARをかざすと、階段がひな壇になってひな人形が並ぶ。日頃忙しい共働き家族が、季節の行事を家族そろって楽しく体験できるアイデア。

講評:「新聞にスマホをかざしたくなるか」「ARの必然性があるか」を基準とした時、審査員全員が素直に「やってみたい」と思った企画。季節行事の準備には手間や時間がかかる。共働き家族でもARで簡単にこのような時間を創出できたらよいのではないか。新聞や住宅との相性も良い(佐藤達郎氏)。

グランプリ受賞ARアイデアの実演。

「日経AR」アプリを上の白い階段の写真にかざすと、グランプリ作品のAR実演動画がご覧いただけます。

日経AR

日経ARアプリは下記URLからダウンロードできます(無料)
https://adweb.nikkei.co.jp/ar/lp/


審査員特別賞

「スリッパ、お借りしてもイイですか?」
(応募課題:テレビ東京/BSテレ東)

    受賞者

    博報堂DY メディアパートナーズ 久古はる香氏

企画の内容:新聞広告の上に自分のスリッパを置いて日経ARでスキャン。家の玄関やリビングに向けると、そのスリッパを履いたタレントが現れて番宣する。タレントが自分のスリッパを履いているという状況は親近感を高め、今までにない新聞広告の楽しみ方が体験できる。

講評:当初はグランプリ1点だけ選ぶ予定だったが、この作品が最後まで拮抗し「審査員特別賞」を設けることに。これも「やってみたくなる」「シェアしたくなる」と思わせるアイデア。ARで終わりではなく、スクリーンショットを撮ってシェアするまでのストーリーが企画に入っている(佐藤雄介氏)。


旭化成ホームズ賞

「せんたくもの、きれいにたためるかな?」

    受賞者

    ADEX 日本経済広告社 関透真氏

    ADEX 日本経済広告社 木下顕志氏

企画の内容:新聞広告に載っている子ども服の形に合わせて洗濯物を置き、日経ARをスキャンするとかわいいキャラクターが現れ、洗濯物の正しいたたみ方を教えてくれる。共働き家族にとって負担が大きい家事を、子どもが楽しみながら手伝い、ゆとりある家族時間を生み出すためのアイデア。

講評:家を建てる目的は「家族が家族するため」。ワークライフバランスでは、家は「ライフ」と思われているが、家事は当然「ワーク」。家事を軽減して家族時間をつくるため、「ワーク」を子どもが楽しめるコンテンツにして「ライフ」に変えたアイデアが秀逸だった(旭化成ホームズ 中村干城氏)。


川崎重工業賞

「乗り物プラネタリウム」

    受賞者

    長谷川まどか氏

    髙瀬基氏

    福島祥子氏

企画の内容:子どもたちは川崎重工業のことは知らなくても同社が製造しているヘリコプターなどの乗り物は大好き。広告に日経ARをかざすと、プラネタリウムのようにいろいろな角度から乗り物が現れる。子どもたちに「大好きな乗り物をつくっている会社=川崎重工」を知ってもらう。

講評:当社はバイクや鉄道車輛は有名だが、他の乗り物やインフラ設備などもつくっている。プラネタリウムという夢のある空間で様々な乗り物を登場させ、臨場感の高い体験を通じてさまざまな製品を知ってもらうことができるという発想が素晴らしい(川崎重工業 鳥居敬氏)。


テレビ東京/BSテレ東賞

出川哲朗の「リアルガチな天気予報」

    受賞者

    アデックスデザインセンター 齋木悠氏

    アデックスデザインセンター 奥野玉枝氏

企画の内容:天気図に日経ARをかざすと、看板番組「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」に出演する出川さんが電動バイクで現れ、充電場所を求めて駆け回る。その間、現在地の天気がリアルタイムで表示され、充電中に番組宣伝映像なども同じ画面で流れる。

講評:この番組は出川さんが日本全国に飛び出して行って"リアルガチ"に地元の人の温かさに触れるドキュメンタリー。未知の世界とのめぐり逢いを求めて外に行く番組のポリシーと、「天気予報」という必要な情報をかけあわせ、実用性が高いアイデアだった(テレビ東京 天田晶子氏)。


日本経済新聞社賞

「CSAR」ARを活用した新しいCSRアクション

    受賞者

    奥村誠浩氏

    高橋理氏

    金林真氏

企画の内容:災害報道紙面に日経ARアプリをかざすと現地の映像などの情報が表示される。浸水被害が出た場合は水位がARで表現されるので危険度が体感でき、減災につながる。また、決済機能を使って同じアプリ画面の中でワンストップで被災地への寄付ができる。

講評:新聞メディアと親和性が高いアイデア。災害時は被災地の情報と合わせて自分の地域への影響を知りたいので、この施策はニーズが高い。寄付を同じ画面からできれば社会貢献的な意味でも価値がある。CSRとARを掛け合わせた「CSAR」という名前も良い(日本経済新聞社 平田喜裕)。

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